「高速道路に子猫が!」と緊急連絡……猫風邪をひき、体重はたった400g 先住猫2匹とも仲良く“最強ボーイ”に
保護猫との出会い方はさまざまですが、ときに命が消え入る寸前、一分一秒を争う状態であることも少なくありません。キジトラ猫「るな」ちゃんが最後の力を振りしぼって歩いていたのは、なんと高速道路沿い。Xユーザー・むぎさん(@mugi411)に訪れた予想外の出会いとは--
■車の激しい往来のそばでさまよう子猫
それは、2023年10月30日のこと。猛暑が治まり、季節は秋へと移り変わったころです。この日、飼い主さんは車で幼稚園へ子どもを迎えに向かっていました。すると、1本の連絡が…。
「私の母から連絡が入ったんです。バイクに乗って仕事中、高速道路沿いに子猫がいるのを見つけたと。ただ、すぐに保護できる状況ではなかったため、私に知らせてくれたんです。そこで、子どもたちを幼稚園に迎えに行ったあと、母が待つ現地へ向かいました」
周囲には、親猫やきょうだい猫の姿は見当たりませんでした。1匹では生き抜いていくことはおよそ難しいであろう、それほど小さかったといいます。
「そのまま子猫を保護して、家へ連れて帰ることに。生後推定1カ月の男の子で、体重は400グラムほどでした」
るなちゃんを保護した夜は、月がとても美しく輝いていました。飼い主さんの母は、イタリア語・ラテン語で「月」を意味する「Luna(ルナ)」から、子猫の名前を「るな」と命名。こうして、るなちゃんは家族の一員となりました。
■猫風邪を乗り越えて--先住猫と築いた絆
肌寒い時期、たったひとりでさまよっていたるなちゃんは、猫風邪をひいていました。食欲があり、元気だったのは幸いだったといっていいでしょう。ただ、飼い主さんの家にはすでに先住猫の「むぎ」ちゃん、「ふく」くんが暮らしていたため、猫風邪の感染を防ぐため、2匹と一緒に過ごすのはいったん見送ることにしました。
「別室にケージを設置し、るなはしばらくのあいだ、そこで療養してもらうことに。病院で処方してもらった薬を飲ませ、吸入治療のために通院する日々を過ごしました。ようやく回復したタイミングで、ケージごとリビングに移動。むぎ、ふくと会う時間をつくりました」
むぎちゃんとふくちゃんの反応は--まったく動じることなく、るなちゃんのことをあたたかく受け入れてくれました。その様子は、まるでずっと前からるなちゃんが家族だったかのように振る舞ってくれたといいます。
「当時、ふくはまだ1歳だったので『早く一緒に遊びたい!』とわくわくした様子でした。るながいるケージの前で寝転んだり、へそ天になったりして仲良くしたいとアピール。ケージの中と外、2匹は前足を伸ばし合ってちょいちょいして一緒に遊ぶようになりました」
るなちゃんがワクチン接種を終え、いよいよケージから出て過ごせるようになっても、むぎちゃんとふくちゃんの“ウェルカム”な反応は変わりませんでした。
「るなは、何ら緊張した様子もなく、むぎとふくに近寄って『遊ぼう!』と誘っていたのが微笑ましかったです。ただ、るなはまだ小さかったのでケガをしないように、ケージの外で過ごすときは必ず、そばで見守りました」
ふくちゃんにとっては、待ちに待った瞬間。るなちゃんにとって1番の遊び相手になったといいます。また、飼い主さんの子どもや、保護主でもある母もまた、るなちゃんの成長をサポートしてくれました。
「長女は『ふくに弟分ができた』と言って、るなのこともかいがいしくお世話をしてくれました。母もまた、るなには思い入れがあるため、我が家へよく遊びに来るように。たくさん愛情を注いでもらったことから、るなは人間を怖がりません。来客があっても、ぴったりとくっつき、娘たちにはよく抱っこされています。みなにかわいがられて、とてもフレンドリーな子になりました」
さらに、るなちゃんは大きな音が出るドライヤーや掃除機もへっちゃら。いつもそばに信頼できる家族がいることは、るなちゃんを強く、たくましくしてくれたのです。
■猫きょうだい1番のパワフル男子に
あの小さく、はかなげだったるなちゃんは、現在2歳になりました。先住のむぎちゃん、ふくちゃんをはるかに上回るほど元気いっぱい。野生味あふれるたくましい子になったといいます。
「パワフルではありますが、とても優しく、爪を出したり、噛みついたりすることはありません。人間が大好きです。新入り猫のこまにとっては、1番の相棒であり、面倒見のよいお兄ちゃんになりました」
そして、小さいころから変わらず、食欲旺盛。のんびりしている先住のふくちゃんのご飯を虎視眈々と狙うため、「それだけは止めてほしいですね」と飼い主さんは困ったように微笑みます。
るなちゃん、むぎちゃん、ふくちゃん、こまちゃんは、みんな元保護猫。飼い主さんの家で家族になりました。血のつながりはありませんが、それぞれほどよい距離感を保ちながら、仲良く穏やかな日々を過ごしています。今、飼い主さんがあらためてるなちゃんたちに抱く思いとは--。
「そばにいてくれるだけで、たくさんの癒やしを与えてくれる大切な存在です。生きていてくれることに感謝しています」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)





