小3 きゅるん少女キャラ→14年後 渋いリーマン男子「紆余曲折すぎる」絵柄が激変したイラストレーターに聞いた
小学校3年生の頃に描いた女の子の絵と、最近描いたという劇画タッチの男性のイラストを並べた写真がXに投稿され、絵力の成長やタッチの変化が話題を集めています。
投稿したのはイラストレーターの明星(@myojo_0120)さん。「小3と現在。紆余曲折すぎる」と添えられた画像には、当時の丸くてかわいらしいアニメ調のキャラクターと、現在のレトロな劇画タッチの人物画が並び、表示回数は約346万回、10万件を超える「いいね」が寄せられました。
小3のころの絵は、丸い目が印象的な、王道の“かわいい系”アニメ風キャラクターでした。現在のイラストは、細い線で描かれた鋭い目つきや、光と影のコントラストを強調した塗りが特徴的な劇画タッチ。スーツ姿の男性が襟元を軽くつまむしぐさなど、さりげないポーズから大人の雰囲気が漂います。同じ人物が描いたとは思えないほど、画面全体の空気感が変わっているのが印象的です。
2枚のイラストの間にあり長い年月を振り返ったとき、明星さんは、「まさに『紆余曲折』という言葉が自分の絵の歩みを一番よく表している」と感じたのだといいます。
■部屋の片づけ中に見つけた昔のスケッチブック
投稿のきっかけは、部屋の片づけ中に偶然見つけた昔のスケッチブックでした。
「ページをめくると、今とはまったくテイストの違う画風が出てきて、それがとても面白いと感じました。せっかくだから、成長の記録として当時の絵と現在の絵を並べて投稿することにしました」と振り返ります。
小学生の頃は当時読んでいた漫画やアニメの影響を受けていたといいます。
「当時は松井優征先生の『脳噛ネウロ』や『暗殺教室』が大好きで、独特な世界観やキャラクターの魅せ方にすごく惹かれていました」
一方で、「実は物心ついた頃から、制服やスーツを着たミステリアスで禁欲的な雰囲気を感じるキャラクターが好きでした」と話す明星さん。
■『映画泥棒』のCMにドキドキ
きっかけは、幼稚園か小学1年生の頃に連れて行ってもらった映画館で流れていた『映画泥棒』のCMにドキドキしたことだったそう。そういう制服やスーツを着こなすクールなキャラクターを描きたかったものの、当時のスキルでは表現できなかったのだとか。
「比較的簡単に描けるかわいいキャラや絵柄に偏っていた記憶があります。それでも描き続けるうちに少しずつスキルを磨き、徐々に本来描きたかったものに近づくことができました」
高校生の頃には、働く男性やスーツ、制服をテーマに既に絵を描き始めていたという明星さん。現在の画風の基礎には、観察とデッサンの積み重ねがあります。
「物を観察する力を磨くために、特にデッサンには集中して取り組んできました。高校や大学などでも、静物だけでなくスーツのシワや人体の構造を観察するための“スーツデッサン”をよくしていました。そうした積み重ねが、現在の画風の基盤となっていると思います」
■イラストレーターとして絵を仕事に
理想の表現を目指して絵柄を試行錯誤する過程は、無我夢中になれて楽しかったと振り返る明星さん。美大卒の親の影響もあり、物心ついた時から絵を描くことが生活の一部だったといいます。
「自分にとって絵はもう食事や睡眠と同じような感覚です。絵で落ち込むことがあっても、描くこと自体をやめようと思ったことは一度もなく、これから先もないと思います」
子どもの頃からの夢が叶い、23歳の現在はイラストレーターとして絵を仕事にしている明星さん。しかし、「根っこの気持ちは何も変わっていません」と話します。
「絵を描くことは私にとって当たり前のことであり、生きていくうえで必要不可欠。理想の表現を追い求めて悩むことも、小3の頃と変わっていません。これからも悩みながら描き続けていくのだと思います」
最後に、今回の投稿への反響について尋ねました。
「大昔の絵をたくさんの方に見られるのは少し恥ずかしい気持ちもありましたが、小3の頃のイラストを褒めてくださる方が多く、とても嬉しかったです。コメントを読んでいて、当時どうしても理想的なキャラクターが描けずに悩んでいた自分、そして現在に至るまでの経緯や信念が報われたような感覚がありました」





