15年のブランク→20社近くの事務職に不採用「私には何もない」…再就職を目指す専業主婦の「強み」とは!?

Aさんは、大学卒業後に入社した食品メーカーを結婚のタイミングで退職しました。それから15年間、夫を支え2人の子供を育てることに専念する日々を過ごします。目まぐるしく過ぎる毎日でしたが、子供たちが大きくなりようやく自分の時間が持てるようになりました。

そして「もう一度、社会に出て働きたい」と考えたAさんは、胸を弾ませながらパソコンを開き、求人サイトを眺め始めました。そこに並んでいたのは「35歳まで」という年齢の壁や、「実務経験必須」という厳しい条件ばかりで、15年というブランクの重みが、ずっしりと肩にのしかかります。

それでも諦めきれず、20社近くの事務職に応募しました。しかし返ってくるのは「ご期待に沿いかねる結果となりました」というメールばかり。面接にすらたどり着けない状態にAさんは「私には何もない」という焦りと無力感に苛まれました。

Aさんはブランクを乗り越えて、仕事を手にするにはどうしたらいいでしょうか。キャリアカウンセラーの七野綾音さんに話を聞きました。

■専業主婦時代の経験こそ強みになり得る

ー専業主婦が再就職を目指す際の不安や課題は何ですか

「そもそも自分なんかを雇ってくれる会社があるのだろうか」という不安を抱えている方が多い印象です。いざ求人サイトを見ても年齢制限に阻まれたり、応募しても書類選考で立て続けに落ちてしまったりすることで、さらに自信を失ってしまうのです。

「私には何もない」という無力感に苛まれ、自己肯定感がどんどん低下していくという悪循環に陥ってしまいます。ブランクが長ければ長いほど、就職に対する心理的なハードルは高くなります。焦りから、手当たり次第に応募してしまい、結果として不採用が続いてさらに落ち込む、というケースも少なくありません。

ーまず何から始めるべきでしょうか

求人情報を見て応募をする前に、自己分析を行うことが重要です。自分自身の興味・関心や、スキルや能力を洗い出すことが大切です。自己分析を通じて自分の「軸」が定まれば、「この会社でこんなことをしてみたい」という具体的な志望動機が生まれるでしょう。

ー家事・育児・地域活動などで培った経験はアピールになりますか

専業主婦時代の経験こそ、積極的にアピールすべき「強み」になります。子育てで培ったスケジュール管理能力や、PTAや町内会などの地域活動で磨いたコミュニケーション能力など、掘り下げてみると意外な強みが見つかるはずです。

これらの経験を「仕事で活かせるスキル」として再定義し、「専業主婦として培ったこの課題解決能力は、貴社の業務においてもこのように貢献できると考えています」というように、具体的に伝えましょう。

ー失った自信を取り戻すにはどうしたらいいでしょうか

意識的に自分自身の自己肯定感を回復させることが重要です。活動の記録をつけて、日々の小さな成功を書き出してみたり、長期的な視点を持って理想を描いたりするのも良いでしょう。

ひとりで解決するのが難しい場合は、費用を払ってでもキャリアカウンセリングを受けてみるのも有効な手段です。プロに相談すれば、就職への希望の光が感じられるでしょう。

◆七野綾音(しちのあやね)キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント

やりがいを実感しながら自分らしく働く大人を増やして、「大人って楽しそう!働くのって面白そう!」と子ども達が思える社会を目指すキャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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