東京・丸の内では坪単価5万円超え!出社回帰で都心オフィスは争奪戦に 渋谷の半額「湾岸エリア」が注目される3つの理由

■オフィス回帰の影響大 都心の空室が大幅減

オフィス回帰、出社奨励、出社要求などという言葉が聞かれるようになりしばらく経ちましたが、コロナ渦が収束しオフィスへの出社が推奨されるこの流れは、オフィス物件の賃料にも現れてきています。

オフィス物件の賃料は、”1坪あたりいくらか?”という「坪単価」をもとにやり取りされることが多いですが、テナント募集時に公開された情報ではなく、”成約時”の情報を独自リサーチすることで、よりリアルな現状をまとめた資料(『オフィス坪単価マップ』)によると、今年度、調査対象になったオフィスビルは昨年の約600棟から大きく減って、約400棟になっているそう(2025年5月時点)。

つまり、オフィスビルの空室がこの1年で大幅に減少したことが、まず大きなトピックスのひとつになっているということです。

フル出社に戻った企業、リモートが主体になった企業、どちらも取り入れハイブリットな働き方を推奨する企業など、働き方は多様化しましたが、コロナ禍で縮小したオフィスを再び拡大しようとする傾向が強く、増床したり、より広い面積に移転したりする企業が多く見られます。そのため空室がどんどん減っていき、物件の取り合いになっているのです。 

■約85%のエリアで賃料上昇し、丸の内の坪単価5万円超え!? 

空室がない、ということはもちろん賃料にも大きな影響を与えています。前述の『オフィス坪単価マップ』によると、今年度の坪単価(=1坪あたりの賃料)はなんと、約85%のエリアで上昇。坪単価30,000円を超えるエリアは5つもあり、丸の内エリアにいたっては坪単価50,000円を突破しました。

今年度新たに3万円台に突入した表参道/外苑前、六本木、銀座/有楽町の3つのエリアは、高グレードの物件の募集が増えたことが値上がりの主な要因と考えられます。しかし、この3つは都心の主要エリアの中でも特に人気があり、空室が減ると値下げしなくても借り手が決まるため、オーナーも強気に値上げを行なっている印象。価格の天井はまだまだ見えず、しばらく相場上昇は続くと思われます。

5万円台を叩き出した丸の内には、数年前から5万円を超える物件は存在していましたが、オフィス回帰が急速に進んだことで手頃な価格帯の物件は軒並み空室がなくなり、その影響で相場が5万円台に。

そして、丸の内だけでなく、渋谷界隈も新宿近辺も軒並み賃料が上昇しました。そうなってくると移転を検討している企業は、エリアを変えざるを得なくなります。そこで全力でおすすめしたいのが勝どき、天王洲、お台場などの湾岸エリアです。

■移転先の穴場は”湾岸エリア”

おすすめポイント①)湾岸エリアの賃料は渋谷の約半分!

湾岸エリアの最大の魅力は、なんと言っても賃料の安さ。渋谷エリアの半分程度の坪単価15,000円ほどでラウンジ、ワークスペースなどがあるハイグレードな物件を、広い面積で借りることができます。さらに渋谷エリアはフリーレントが平均2~3ヶ月程度に対し、湾岸エリアは過去に10ヶ月~1年以上だった物件もあり、中には内装費用をオーナーが負担してくれる物件も。コストパフォーマンスが高く、浮いたお金を給与や手厚い福利厚生に回し、社員の士気を高めることにも繋がっています。

実際に移転先を最初は日本橋界隈で探していた企業が、賃料が予算より高いため断念。その後、勝どきに移転を決めたという例もあります。アクセスを心配する声も最初はあったそうですが、ビルのグレードが上がり広くなったことで社員からはポジティブな意見の方が多く集まったそうです。後述しますが、このエリアは、地下鉄やりんかい線によってアクセスしやすい場所もあります。

また、周囲に高いビルが少なく目の前に海が広がるこのエリアは、働きながらオーシャンビューやキレイな夜景を望める環境も魅力的ですよね。都心部とは違い、リフレッシュしやすく心にゆとりを持って働けるようになったという声も、移転した企業から上がってきています。

おすすめポイント②)渋谷から電車で1本。通勤が現実的なエリアも

この湾岸エリアをもう少し詳しく見ていくと、まず、勝どきは大江戸線が使えるだけでなく、隣の月島駅まで歩いていけば(徒歩約10分、距離にすると約800m程度)有楽町線も使えるので、実は銀座や有楽町、永田町などへのアクセスが良いのがポイントです。

有明・お台場は、丸の内や渋谷に比べるとアクセスが悪いと嫌厭されがちですが、実際は、渋谷から東京テレポート駅まではりんかい線で1本、約20分ほど。しかも、湾岸エリアのオフィスビルは駅近にビルがわりと密集しているので、物件選定の条件によっては、たとえば渋谷駅から徒歩15分の物件の比較対象になるケースも考えられます。また、この辺りは、エンタメ系をはじめ多種多様な企業が集まり、商業施設も多く、バラエティ豊かな場所です。

天王洲は高層ビルが立ち並ぶエリアですが、各ビルがデッキで繋がっているので雨に濡れずに移動できる珍しい造りをしています。そんなビルの足元にはたくさんの飲食店や物販店があるので、ビル群がひとつの街のように感じられます。

おすすめポイント③)東京都が注力し、一部エリアには手厚い移転支援金も

湾岸エリアは今、東京都が推進する『東京ベイeSGプロジェクト』により、50年・100年先を見据えた大規模な再開発が進行中です。2025年秋に開業予定の『トヨタアリーナ東京』、東京都が2025年末に完成を目指す巨大噴水『ODAIBAファウンテン(仮称)』など、商業施設などのオープンが続き、街全体がさらに活気づくことが予想されます。こうした再開発の波に合わせて、東京都は『臨海副都心にぎわい・活力創出事業』を開始。臨海副都心エリアへの移転を希望する創業10年未満のスタートアップ企業を対象に、工事費や内装費、備品購入費など最大5,000万円の補助金が支給される制度も始まりました。

■オフィス移転成功のカギは選択肢の拡充にあり

もちろん、この湾岸エリアは、すべての企業にマッチするエリアではないと思います。外まわりの多い職種や関連企業との行き来が会社には向いていないかもしれません。

しかし、渋谷や丸の内の狭くて高いオフィスと比べると、坪数を2倍にしても湾岸の方が安いことが多々あり、浮いた資金を内装費にまわしたり、新たな投資や採用を強化する…というパターンが十分あり得るということをぜひ知っておいていただきたいと思います。

それぞれの企業が自分たちの働き方を実現するためには、ひとつのエリアに固執せず、入居期間や事業フェーズなどを考慮し、選択肢を広げてみることがとても重要です。オフィス移転を単なる引越しにすることなく、事業成長や組織改革に大きなインパクトを与えてくれるオフィスは、もしかしたら、想定外の街やエリアにあるかもしれません。

◆株式会社ヒトカラメディア ベンチャー・スタートアップから老舗企業のオフィス移転、デベロッパーや電鉄会社との不動産開発・ワークスペースの運営などを行っている会社です。”働く”という領域を中心に、いかにして世の中にオモシロい状況を増やせるかを考え、挑んでいます。

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