メルカトル図法の特性が一目でわかる「いびつ」な画像 高緯度の大きなひずみを人間の顔に置き換えると…スト2のガイル?(笑)

メルカトル図法の特性がSNS上で大きな注目を集めている。

きっかけになったのは「今年もメルカトル図法を説明するために、この画像を使う時期になりましたね」と一枚のイラストを紹介した現役高校地理教師の地理おた部さん(@geographybu)の投稿。

詳しくは投稿を確認して欲しいが、地球儀の図法がごく平均的な輪郭の男性だとすれば、それをメルカトル図法に直すとストリートファイター2のガイルの顎を幅広にしたような…極端な逆エンタシスとでも言うべき顔になってまうという趣旨のこのイラスト。

平面の地図としては見やすいメルカトル図法だが、経線、緯線が直交するように描くため高緯度に向かうほど距離や面積が拡大されてしまうというわけだ。北極圏にあるグリーンランドにいたっては実際よりも約17倍の大きく描かれることになる。

地理おた部さんさんにお話を聞いた。

ーー投稿のきっかけは?

地理おた部:メルカトル図法は日常生活でよく目にする図法なので、みなさん正しい図法だと思っています。しかしながらメルカトル図法は面積も正しくなければ、方角も正しく無い図法です。そのためグリーンランドやロシアは地図で見るよりも小さいのですが、それを理解するためには、球体を平面にする過程を学ばなければなりません。その過程を説明する際に、あの画像は非常に有効です。

高緯度地域を平面で表現するために“ひずみ”の部分を引きのばす必要があり、図のような形になってしまいます。そのため高緯度に位置しているロシアやグリーンランドは、実際よりも大きく表現されてしまいます。この解説を図と共にすると、最初は図のインパクトから笑いが起きますが、だんだんと「なるほど!」という反応に代わり、なぜこんな意味不明な図法が日常生活で目に触れるのかという疑問にも変わっていきます。生徒が自ら気づき、課題を見つけ、それに向かって学習をはじめるという理想的な流れをつくれるので非常に助かっています。

ーー大きな反響がありました。

地理おた部:定期的にアップしているので個人的に大きな反響などは感じていませんが、今年からはじめて地理を担当される先生方や、地理の指導に悩んでいる先生方にはいい刺激やアイデアとなっているようで、「勉強になりました」という反応を多くもらいました。

◇ ◇

SNSユーザー達から

「重要なのはこれでメルカトル図法はクソとか言って使わないことではなく、状況に応じて使う地図を選ぶことですよねぇ。 なかなか難しいんですか・・・」

「この画像見るまでこの原理全く理解できなかった。 やっぱ文章で説明するよりこうやって画像載せる方が理解が早い。」

「ガイルはメルカトル図法の賜物だったか…w」

など数々の驚きの声が寄せられた今回の投稿。

なお今回の話題を提供してくれた地理おた部さんさんは教員としての仕事のかたわら、今回のように地理に関する教材研究や情報発信に取り組んでいる。『自然のふしぎを解明!超入門「地理」ペディア』(ベレ出版)や『ゼロから学びなおす 知らないことだらけの日本地理』(WAVE出版)といった書籍も手掛けているので、ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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