罰金600元!タバコの箱を持っただけなのに 台湾の交通ルールにびっくり 日本の5倍の交通事故死リスク

台湾は「世界一民度が高い」と評する声がある一方「世界一交通マナーが悪い」という声もあります。台湾各地ではバイク事故を多く目にしますし、YouTubeなどでも激しい交通事故やヒヤリハット動画を見ることもあります。

台湾の交通部道路交通安全督導委員会(道安会)の統計によると、2022年の交通事故発生後30日以内の死亡者数は3085人。前年に比べ123人(4.2%)増で、過去10年間で最も多い数字です。

同年の日本の交通事故の死亡者数は3541人(厚生労働省・人口動態統計より)。人口が約5倍の日本と台湾の死亡者数がさほど変わらない数字ですので、台湾の交通事故死者数は、日本の約5倍といえそうです。最も多い死亡事故はバイク。全体の死者数は63%を占めています。

こういった背景から、台湾では年々交通ルールの罰則が厳しくなっています。象徴的なのが近年設定された「運転中のタバコ禁止」です。違反した場合の罰金は600元。現在のレートで日本円に換算すると、大まかに2800円前後となります。

ヨーロッパの一部の国でも採用されていますが、自動車やバイクを運転している際、タバコをくわえながら運転していると処罰の対象になります。運転している際にタバコの箱を持っただけで違反とされる例もあり、市民が撮影した写真を証拠として通報することもできます。台湾の各道路には、日本では考えられないほどのおびただしい数のオービス(速度違反取締装置)が設置されており、こういったことも台湾の交通事情の改善への思いが反映されているように感じます。

■台湾での運転で必要なものはたった4点

一方、日本人にとって台湾は身近な海外旅行の行き先です。コアな日本人台湾ファンの間ではレンタカー旅の人気が出始めているとも言います。その理由の一つが、日本国内の運転免許証が、事実上そのまま通用することです。

信じがたくも聞こえますが、日本人が台湾で自動車を運転する場合、国際免許証は要りません。その代わり以下の4点が必要です。

・日本国内の運転免許証

・パスポート

・クレジットカード

・中国語翻訳文

「中国語翻訳文」は日本のJAFで申請して取得するものですが、それ以外は「台湾を旅行し、自分で運転しよう」と思う人ならおおむねすでに持っているものです。この手軽さもまた、日本人の台湾ファンが現地でレンタカー旅を目指す理由のようです。

■台湾での運転に特化したガイド本も登場

ただし、これまで台湾で日本人が自動車を運転するための情報はごく限られていました。そんななかで刊行されたのが『台湾を自動車で巡る。台湾レンタカー利用完全ガイド』加賀ま波(MAHA)著(なりなれ社)という本です。

台湾での運転およびレンタカー利用の指南書で、厳しい交通事情の台湾で、いかに安全に運転するかを説いた日本で初めてのガイドブックです。著者の加賀ま波(MAHA)さんはこう言います。

「台湾にハマるとどうしても地方を巡ってみたくなります。しかし、その移動術は限られることも多く、泣く泣く断念することも多くありました。そんな中で『レンタカーなら自由に各地を巡ることができる!』と思い立ち、実際に台湾で運転することになりました。

台湾の交通事情の難しさ、悲惨な事故などを前にすれば、台湾での運転に臆する人は多いと思います。しかし、だからこそ自分も含めた多くの日本人にとっての『台湾の運転ガイド』があったほうが良いと思い刊行に至りました。この本を参考に、大好きな台湾で悲しい事故を起こさないよう、安全運転で巡ってもらいたいです」

■日本人運転者の死亡事故例も

日本人が台湾で運転中に交通事故を起こし亡くなったケースもあります。台湾で運転を計画している人は、事前にこういった専門書の他、様々な情報を得て台湾特有の交通事情を理解すべきでしょう。

運転中にタバコの箱を持っただけで違反対象となる台湾。新型コロナ対策では世界中から「優等生」として評価されるほどの徹底ぶりを見せてくれたように、交通面でも悪評から転じて「世界のお手本」になってくれると良いなと思いました。

『台湾を自動車で巡る。台湾レンタカー利用完全ガイド』加賀ま波(MAHA)著(なりなれ社)

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(まいどなニュース特約・松田 義人)

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