「バイト先から帰って一言目　え？」

玄関先に積み上がる段ボール箱の写真がTwitter（現X）上で話題になりました。

投稿したのは、秋田市内に住むたかはしさつきさん（@may32k）。写真は、たかはしさんがTwitterを通じて呼び掛けていた支援物資が入った段ボール箱です。市内をはじめ秋田県内の各地では7月中旬の記録的な大雨により、広い範囲で住宅などの浸水被害が相次いで被災した人たちが続出。このため県内の物資が不足しており、自分のできる範囲で支援を呼び掛けてみようとSNSで発信したといいます。

「1週間経過して　雑巾が足りません。熱中症対策用品。半透明の厚手のごみ袋。7日間同じTシャツを着ているお父さんも。秋田市内もまだまだ復旧ができているという状況ではなく、まだ全く何も手を付けられていない地域もあります。・・・・・・秋田県民は引っ込み思案です。助けてほしい時に助けてと言えないんです。・・・・・・ほしい物リストを更新しました・・・」（25日の投稿）

そして、今回雨が降り始めた同月14日から2週間近く経った27日。山積みになった支援物資が届いていることに感激したたかはしさんは、思わずツイートしたそうです。そんな投稿に「みんなの心届きましたね、まだ届くと思います」「こんなに沢山の皆さんの気持ち染みますね」「全国の皆さん　ありがとうございます」などと感動する人たちからたくさんのコメントが寄せられています。

■届いたのは…雑巾や熱中症対策用品、ごみ袋などの支援物資が入った約30箱

この日送られてきたのは、雑巾や熱中症対策用品、ごみ袋などの支援物資が入った30箱ほどの段ボール箱。それ以降も続々と届けられ、現在は100箱を超えているというたかはしさん。とはいえ、まだまだ物資が足りないという状況といい、今回の大雨についてこう振り返ります。

「降り始めた14日はそれほど警戒をしていなかったんですが…15日の夜から雨の降り方が強くなってきて。翌日16日になっても降り止まず、これまで経験したことのない激しい降り方でこれはやばいと思いました。私たちの家に大きな被害はなかったのですが、外に出ると太ももまで水が浸かってしまうほどの高さに。テレビをつけると、秋田市内の住宅や繁華街の商店などが浸水している映像を目にして衝撃を受けました」

■前代未聞の大雨で「内水氾濫」　高さ2メートルまで浸水被害エリアも

また市内の被害が深刻で復旧作業も進まず、歯がゆい毎日を過ごしているといいます。

「前代未聞の大雨で市内を中心に下水道や水路から排水しきれない雨水があふれる『内水氾濫』が発生しました。住宅の床上浸水だけでも1000棟を超えているとか。特に市内で浸水がひどかった楢山（ならやま）というエリアでは、高さ2メートル近くまで水位が上がったとのこと。このように住宅が浸水した人たちは家の2階で過ごしたり、親戚の家に避難したりといまだ通常の生活が送れないと聞きます。

今はからっと晴れて、被災したところでは土ぼこりが舞うなどサージカルマスクやゴーグルをつけないと歩けません。暑さに慣れない秋田市民にとっては30度を超えるとしんどく、家の片付けなど復旧作業をされている方たちは大変な状況です」

このほか県内では農業の被害が次々と明らかになり、「地元秋田市では川の堤防が決壊してしまい、田んぼに大量の土砂や流木などが流れ込む被害があって。秋の米の収穫は絶望的な状態だと聞きました…あきたこまちの新米が食べられないかもしれません。先日25日になってようやく市長が大雨の被害が大きかった地区を視察したようですが、こうした農地の再整備は『今年度中』らしいとのこと。農家の方々のためにも行政には早急に対応をしてもらいたい」と、たかはしさんは訴えます。

■復旧に向けて、ボランティア募集中！

たかはしさんによると、これまでに秋田県出身のラッパー羅漢（らかん）さんやシンガーソングライター高橋優さんらが泥のかき出しなどボランティアを行ったとのこと。またこれから被災地を支援するために支援プロジェクト『#サポウィズ』を立ち上げているロックバンド「MAN WITH A MISSION（マンウィズ）」のボーカル・トーキョータナカさんらがボランティアに訪れる予定です。

そして…まだ足りないものは？と尋ねたところ「物資に関しては、特に雑巾やごみ袋、体ふきタオルなどが不足しています。一番今求めているのは、復旧のためのボランティアさんです。人手が足りていません。とても暑い夏ですが、ご無理のない程度に復旧作業を手伝っていただける方をお待ちしております」などと話してくれました。

支援物資やボランティアなどの問い合わせは、たかはしさんのTwitter（@may32k）のDMまで。

（まいどなニュース特約・渡辺 晴子）