多頭飼育崩壊から救出された犬の親子 別々に譲渡されて1年、感動の再会「すれ違った瞬間すぐにわかった」

多頭飼育崩壊から動物愛護センターに収容されたワンコ親子がいました。白かったはずの体は薄茶色に汚れ、排泄物がこびりついています。ボロボロの体でお母さんワンコは「子どもたちが何かされるんじゃないか」と人間を威嚇しています。

親子を保護したのは保護団体ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。引き出した後、すぐに同団体の施設に連れて帰りましたが、ワンコ親子にとっては慣れない環境です。相変わらずその目は怯え、すぐに心を開いてはくれませんでした。

■ワンコ親子が一緒に過ごせた「限られた時間」

お母さんワンコの名はうさぎ。ピースワンコの施設に連れて帰った後も、なかなか心を開いてくれませんでしたが、スタッフが遠くからおやつをあげたり、声をかけたり、撫でたりと献身的にケアをし続けると、「この人たちは敵ではない」と思ってくれたのか、少しずつ心を開いてくれるようになり、そして、2頭の子犬に触れても威嚇することは減りました。

いつも大切そうに仔犬たちを見つめる姿はお母さんそのもの。自分のことはさておき、子犬たちのことを最優先に考えている様子でした。

母犬と2頭の子犬の時間はそう長くはありませんでした。新しい里親さんへの譲渡が決まったからです。親子は離ればなれになってしまいましたが、あのまま殺処分になっていたかもしれないことを考えれば…やむをえません。

■うさぎにも新しい里親さんが見つかった

子犬たちが譲渡され、幸せな第2の犬生を過ごすようになってから数カ月後、お母さんワンコにも良い出会いがありました。子犬に比べれば、成犬を迎え入れる里親さんが少ないのが現実ですが、新しい飼い主さんは「もふもふした毛がかわいい」と一目惚れだったと言います。その方はこう言いました。

「びっくりするくらいかわいいなと思いました。多頭飼育崩壊を経て動物愛護センターから引き出された動画を見て、安心できる場所を与えてあげたいなと思いました」

果たして、うさぎも新しい里親さんの元で幸せに暮らすことになりました。

■「すれ違った瞬間すぐにわかった」うさぎ親子の再会

うさぎと2頭の子犬たちが保護されてから約1年が経った頃、ピースワンコは卒業したワンコたちが集まる同窓会イベントを開きました。

そこでは別々の里親さんに連れられた、うさぎ親子が再会を果たしました。

うさぎは保護当時のボロボロな姿とはまるで違い、もふもふとした毛をまとい、そして幸せそうな表情です。そして、約1年前にはあんなに小さかった子犬は体が大きくなり、立派に成長していました。

それぞれの里親さん同士は「すれ違った瞬間、すぐに親子だとわかった」と言いました。うさぎも子犬も1年ぶりの再会にとにかくうれしそう!そして安心したような表情でした。

もしかしたら、その命を絶たれていたかもしれない親子が、それぞれ幸せに暮らし、そして再びめぐり会えることが来た日にスタッフは目を潤ませました。

多頭飼育崩壊は、毎年全国各地で発見されています。現場の大半は劣悪な環境が多く、病気になっているワンコもいます。同団体では、今回ご紹介したうさぎ親子のように、多くのワンコたちが幸せな第2の犬生を送ることができるよう、今日も活動を続けています。 

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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