恐怖心から噛みつくことも 保護犬の心の氷を溶かしたのは新しい飼い主さんと先住犬 今は白目で眠るほどリラックス

「理不尽に消されていく小さな命を1つでも多く助けたい」と、福岡を拠点にこれまでに多くの犬猫を保護し、新しい里親さんへとつないできた、ボランティアチーム・わんにゃんレスキューはぴねす(以下、はぴねす)。

2020年のある日のこと。福岡県内で無責任な餌やりによって繁殖してしまった野犬たちが次々と動物愛護センターに収容されました。このうち、人になれておらず、すみっこでとにかく震えていた犬がいました。ミックス犬のオスのワンコ、クマタロウです。

■保護時、パニックとなり大暴れ

はぴねすのスタッフはクマタロウを保護し、家に連れて帰ることにしました。動物愛護センターの柵から連れて帰るため、ケージに入ってもらおうと、そのリードを引っ張ったところ、クマタロウはパニックになって大暴れ。あまりの恐怖からスタッフにかみついてきました。

やむを得ず、クマタロウの口にかまないようにする口輪をつけて、連れて帰りました。家についてからはかむつくことはなくなりましたが、しかし、これまでクマタロウが経験したことがない場面に遭遇したり、追いかけたり引っ張ったりして驚いた際には、またかみついてくる可能性があります。スタッフは「ここは安全な場所であること」「誰もあなたを攻撃しないということ」に気付いてもらえるよう、とにかくクマタロウにリラックスしてもらえるよう、気を遣いながら生活をすることにしました。

■自らサークルから出てきてくれた

人間と過ごす楽しさを知ってもらおうと、日々スタッフは体をなでて声掛けをするものの、元野犬のクマタロウは警戒心が強く、なかなか心を開きませんでした。

そんな中で、スタッフの家へ新たにやってきたのが、人懐っこい保護犬・あゆむくんです。もう1頭の先住犬とあゆむくんが楽しそうに遊ぶ姿を見たクマタロウはやっと「ここは安心できる場所なんだ」と理解してくれたようで、なんと自らサークルから出てきて、先住犬やあゆむくんと一緒に遊ぶようになりました。

元野犬の多くは、人間に対する恐怖心、警戒心が強い一方、ワンコ同士のコミュニケーションに長けています。クマタロウもまた、それまでとはうって変わって他のワンコと楽しそうに過ごしています。そして、ワンコ同士で打ち解けたことも影響したのか、クマタロウはスタッフのベッドに自分から上ってきたり、スタッフの手の匂いをかぎに来るようになりました。

■新しい里親さんの車でも大暴れ

少しずつ心を開いていってくれたクマタロウですが、「なれない人間への極度の怖がり」は相変わらずでした。しかし、そんなクマタロウを「ぜひ、うちに迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。里親希望者さんの家族は、過去に大きなミックス犬を看取った経験があり、現在もワンコを飼っているとのこと。スタッフは安心して、この方にクマタロウを譲渡することに決めました。

新しい里親さんの家へ向かう日、クマタロウは里親さんの車に乗ることになりましたが、やはりクマタロウはあまりの恐怖から吐いてしまうほど暴れました。

しかし、里親さんはこういうクマタロウの性格も承知の上です。家にはクマタロウのために背の高いゲートを用意し、またリビングには背の高いサークルとクレートが用意されていました。

■幸せな第2の犬生へ

当初こそ強い警戒心を抱いていたクマタロウですが、里親さんのたっぷりの愛情を受け、そして先住犬とのコミュニケーションを受け、次第に心を開いていきました。さらには白目でスヤスヤ眠ってしまうほどリラックスしていきました。

クマタロウのそんな様子を聞かされ、顔がほころんでしまうスタッフ。幸せな第2の犬生を迎えられたことが何よりうれしかったそうです。

この家で、クマタロウは新たに「りく」という名前を贈られました。これからも幸せで楽しい毎日が、りくを待っていることでしょう。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

関連ニュース

ライフ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス