臆病な子犬を家族に 夜寂しくて鳴き叫ぶので添い寝を始めたら、飼い主も早い帰宅が日課に

■命を預かる責任を教えたい

茶々くん(1歳11ヵ月・オス)は、2021年1月13日に保護団体の施設で生まれた。団体は妊婦の犬を保護したのだが、その犬が出産したのだという。2匹兄弟だった。

北海道に住む森さんは、子供の頃に犬やセキセイインコなどを飼育していた。

「成長の喜びや死の悲しみを体験しています。自分の子供にも『命を預かる責任』を知ってもらいたいと思い、犬の飼育を希望しました」

2020年12月、森さんは保護団体の人と面談した。当初は成犬を希望していたのだが、ちょうどその時、茶々くんたちを身ごもっている母犬が施設にいた。

「団体の方から『(家族が)犬を初めて飼うなら子犬からの方がいい』という助言をいただき、成犬飼育を見送って出生前でしたが、子犬を迎える決断をしました」

■わんぱくな子犬と臆病な子犬

森さんは、2021年3月、初めて兄弟に会った。茶々くんの兄弟犬は人見知りせず活発な子だった。その子に押されがちで臆病な茶々くん。対照的な2匹だったが、ヤンチャな兄弟犬に振り回される茶々くんの姿を愛おしく感じ、茶々くんを選んだそうだ。

2週間後茶々くんを迎えに行くと、自宅まで車で2、3分の距離だったが、茶々くんは移動の車中で不安そうに鳴き叫んでいた。森さんはとても心配になった。

「自宅に着いてしばらくすると、予め用意していたボールでいかにも無邪気な子犬らしく遊び始め、ホッと胸をなでおろしました」

■分離不安症の犬。添い寝を始めてみたら・・・

茶々くんは、初日から家族の姿が見えなくなると極度に怖がり、夜も独りにすると鳴き叫んだ。獣医師から分離不安症の可能性があると言われ、サプリメントを試したが効果は薄く、早朝4時頃には目を覚まして鳴き始めた。

「そこで腹をくくって私が毎日茶々と寝ることを決め、毎晩私の部屋で添い寝しています。当初は茶々が寂しがらないように……という意図でしたが、今では私自身、茶々がいないと寂しくなってしまいました。また、深夜まで飲み歩くこともなくなり、遅くとも終電で帰宅するようになるという副反応も生まれました」

茶々くんは自宅ではワガママでいたずら大好き、大騒ぎするワンパクなのに、一歩外に出れば人見知りと犬見知りで、森さんの陰に隠れてしまう内弁慶。自宅の居間と家族が大好きで、散歩から帰宅すると居間に向かって一目散にダッシュする。

「私の家族は皆そこそこの年齢となり、自室で一人の時間を持つようになってきました。家族の誰よりも茶々が居間に全員が集う『家族のだんらん』を強く望んでいるように思います」

家族のことが大好きな茶々くん。子どものために飼った犬だったが、いつしか森さんにとってもなくてはならないパートナーになっていた。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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