「2人は激しくキスをする」演技指導と称しわいせつ行為…自称プロデューサー5回目の逮捕 オーディション経験のある元刑事が注意喚起

 自主制作映画の出演者オーディションと称し、応募した30代の女性に対する準強制わいせつ容疑で、警視庁捜査1課は12日、既に別件での同罪などで起訴されている都内在住の無職、吉岡康成容疑者(53)を再逮捕した。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は14日、当サイトの取材に対し、オーディションを受ける際の注意点を呼びかけた。

 再逮捕の容疑は、2月26日夜、東京・池袋駅近くのレンタルルームで、個別に呼び出した女性に対し、演技と称してキスをするなどわいせつな行為をした疑い。吉岡容疑者は映画のプロデューサーを自称し、「2人は激しくキスをする」といったト書きのある台本をオーディションと信じた女性に渡し、自身が相手役にふんしてキスなどをしていた。

 同容疑者は、今年1月に20代女性に対する強制わいせつ容疑で2月に逮捕されて以来、今回で5回目の逮捕となった。2回目は5月に40代女性に強制わいせつ容疑、3回目は6月に20代女性に対する準強制わいせつ容疑、4回目は8月に20代女性に対する準強制わいせつ容疑で逮捕。いずれも、レンタルルームなどでオーディションの演技と称してキスなどをする同様の手口だった。

 今年に入って5回も逮捕されていることについて、小川氏は「この中には古い事件も入っているが、正規な被害届ではなく、警察への被害相談に行って、その時点では『今後、関わらなければそれでいい』ということで終わっていても、相談内容を見れば同じような手口がいくつも書かれていたので、警察が被害届を出させて逮捕を繰り返した可能性がある」と推測した。

 その上で、同氏は「実際に面接や演技指導をする場所がレンタルルームというのも考えにくい。また、現場にプロデューサーが1人しかいないというのも不自然」と指摘した。

 小川氏自身、中高生時代に人気タレント・萩本欽一が司会をするテレビ番組のオーディションを2回受け、「応募者から書類選考で選ばれた約200人の中から最終的に残った6人の候補者に2回とも入った」という体験がある。

 「とにかく『欽ちゃんファミリー』に入りたかった。欽ちゃんが好きで、その近くで仕事をする人になりたかった」と振り返る同氏は、芸能界に憧れる人の心理を踏まえて、今回のように、募集先が社会的に知られていない場合のオーディションを受ける際の注意喚起をした。

 小川氏は「どういうところで募集があったかという点を確認すること。また、通常なら法人になっているはずですから、そういう会社が実際にあるのかとか、過去にどんな作品があったのかなど、今なら簡単にスマホ等で調べられます。また、演技指導するという話があれば、本当かどうか分からなくても、女性にしてみれば『やっとつかんだチャンス』と思ってしまう面もある。ですので、オーディションには自分1人では行かず、親御さんに同行してもらうとか、親しい友人と一緒に行くなど、そういったことが必要かと思います」と呼びかけた。

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