子どもを小学校から私立に通わせるには、年収はどのくらい必要? 一般家庭の収入では難易度高く

幼稚園児や保育園児のお子さんがいる家庭では、子どもの私立小学校進学に興味を持つ方もいるのではないでしょうか。確かに私立小学校は、英語教育などのカリキュラムが充実していたり、エスカレーター式で大学まで進学ができたりと魅力がたくさんあります。とは言え、小学校から私立に通う場合に気がかりなのは「お金」のこと。仮に小学校から私立に通った場合にかかる教育費と、無理なく支出できる年収についてみていきましょう。

■子どもを私立小学校へ通わせる場合…学習費総額は年間約159万円

文部科学省「子供の学習費調査(平成30年度)」によると、私立小学校に通う子どもの場合、学習費総額は年間約159万円(学校教育費約90万、給食費約5万、学校外活動費約64万円)がかかっています。一方で公立小学校の学習総費用は年間32万円(学校教育費約22万、給食費約4万、学校外活動費約6万円)となっていますから、私立小学校に通う家庭は、授業料はもちろんのこと学校外での習い事にも多くのお金をかけていることがわかります。

(※)学校外活動費とは:家庭内での学習や習い事などにかかる費用

なお、私立中学校の総学習費用は年間約140万円、私立高校は年間約97万円。さらに私立大学は学部によっても異なりますが、平均すれば学費のみで年間約115万円(文部科学省「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果」より)がかかっています。

■家計を考慮すれば、年収1000万円以上が望ましい

では、どのくらいの年収があれば子どもを小学校から私立に通わせるのが可能なのでしょうか。仮に年収が少なくても、小学校から高校まで公立に通うのであれば、費用がかさむ大学進学に備えコツコツお金を貯めることができます。しかし、小学校から私立に通い続ける場合はこのような「貯めどき」がなく、ずっとお金がかかり続ける状態。年間100~160万円をコンスタントに支出しなければならないため、収入にも余裕が必要です。

前述の「子供の学習費調査」を見てみると、多くの世帯で教育費の収入に占める割合は5~15%程度。このデータを参考に他の費目とのバランスを考えると、ある程度家計に余裕を持たせるには、教育費はなるべく年収の10%以内、お金がかかる時期でも年収の15%以内に収めるのがベターです。

したがって、きょうだいの数にもよりますが、子どもを私立小学校に通わせるには1000万円以上の年収があるのが望ましいでしょう。実際に子どもを私立小学校に通わせている親の年収は1200万円以上が49.4%、年収1000~1199万円が15.2%と、年収1000万円以上の家庭が65%を占めています。

しかし、厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2019年)によると、年収1000万円以上ある世帯は全体の12.1%。現在はコロナ禍で収入が減っている世帯も多く、一般家庭の私立小学校進学は難易度が高いと言えます。

(ファイナンシャルプランナー・森川 みかん)

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