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「音をデカくするか、0点扱い」大学の対応に驚愕 難聴者がリスニング試験への配慮を申請したら…

「今までで悲しかった出来事のひとつが、関西の某外大に受験したくて「耳が聞こえないのでリスニングは免除して配点を変えるか、もしくはスクリプトなどの代替の方法でお願いしたい」とお願いしたところ、『別室で音をデカくするか、0点扱いしかできないです』と言われた」

難聴者が受験でリスニング試験への配慮を打診した際の、大学側の対応がSNS上で大きな注目を集めている。この出来事を告白したのはレミさん(@remi_english)。

生まれつき耳が聞こえないハンディを持ちながらも、向学心を持ち専門的に英語を学びたいと某外大の門を叩いたレミさん。今回の一件に、日本社会に残る無意識の差別意識や障害者に対する無理解を再認識し、欧米のより進んだ社会構造や取り組み・政治システムを学びたいとより思いを強くしたのだという。

レミさん同様の経験を持つ難聴者は多いようだ。レミさんの投稿に対し、SNSユーザー達からは

「私も学部選択の時、合格したとしても卒業できないよ?と言われたり、受験拒否されたりと結構苦労しましたねー
結局やりたいこととは違う仕事してるので、やりたいこと突き進むのは素晴らしいと思います」

「私は大学での情報保障活動、聞こえない聞こえにくい学生の進路相談をしてきた経験があります。大学側から断られると諦めてしまう子もいますが、今はこうやってSNSで情報収集でき、良きメンターと出会えることは励みになると思います。応援してます」

「すみません、正直言うと読んだ瞬間は『やむなし』と思ってしまったがそれは違う。誰か言ってた、車椅子が路肩でつまづくとしたら、乗ってる人ではなく道路構造に、つまり社会の側に問題があり責任も義務もあるということ。自由な学究を無用に阻む外大の側が改善すべきですね。」

など数々の共感のコメントが寄せられている。

レミさんにお話を聞いた。

--リスニングの受験方法について問い合わせた際の某外大の対応についてあらためてお聞かせください。

レミ:面談をしに学校に出向かった際、耳が聞こえないため受験手段の一つのリスニングを免除するか何か代替の方法をお願いできないか聞いたところ、リスニングの免除はできなくて、別室で音を大きくするか0点扱いしかできないとの旨を言われました。リスニングだと私はわからないと説明したものの無理で、入学した後のサポートも手薄な感じで、授業とかも「聞こえないと難しいと思う」と最初から言われたのも残念で受験をやめました。

--個別の事情にはまったく配慮してくれなかったんですね…。この外大を志望されていた理由をお聞かせください。

レミ:もともと英語が好きで、国際系の勉強をしたいと思っていました。その外大だと英語で専門的なことを学べるし、留学生も多いからいいなと思っていました。

--憧れていた学校から拒絶されるのはショックですね。ニセコ留学をされた経緯と、そちらで英語を学ばれたご感想をお聞かせください

ー夏休みに本当は海外旅行や留学がしたかったのですが、コロナで行ける状況になかったため、どうにかして留学とか旅行ができないかとネットサーフィンをしているとニセコ留学の情報にたどりつきました。マルタ留学も迷っていたのですが、その場合、現地には行けても授業がオンラインになるとのことでした。耳が聞こえないからちょっと大変だし、せっかく海外に行く意味もないと思い、現地に行けて且つ対面で授業を受けられるニセコ留学を選択しました。

国内ではあるけれどすれ違う人の半分以上が外国人のニセコでは、英語だけでなくさまざまな国の文化を身近に感じることができます。みんなフレンドリーなのでたくさん話すことで英語での会話に慣れることができた上に新たな発見をたくさん得られました。苦手意識を持っていたスピーキングが前より上達したと感じています。講師の皆さんもネイティブで、本当に優しくて授業も分かりやすいのでニセコ留学に来て本当に良かったと思っています。

--今回投稿された事柄以外に、耳が聞こえないことによってどんな不便や理不尽を感じているのでしょうか?

レミ:コンサートやスポーツ観戦の時、MCの内容がわかりません。映画やドラマも、字幕がないと見れませんし、字幕あったとしても数日間限定だったり、朝イチの回だけだったりします。アナウンスや音声案内がわからないので、外出するとさまざまなシーンで行動が遅れたり間違ったりして周囲に迷惑をかけてしまうことがあります。

あと、耳が聞こえないことで飲食店に入店拒否をされたり、遊園地に入れなかったりしたことがありました。今はコロナ禍だから仕方がないかもしれませんが、先日は自動車教習所でフェイスシールドをつけることができないからと利用を拒否されたり、高額なバリアフリープランを提示されました。結局、フェイスシールドをつけてくれて、値段も一般と変わらない教習所を見つけて通うことができましたが……。

就ける仕事を探すのも難しいです。昔はCAになるのが夢だったのですが、聞こえないことで断念しました もう少し自己実現の幅が広がるといいなと感じますが、現実はサポートが手薄なことで選択肢は少ないです。

今回の投稿に関連したことでも、配慮の関係で人より早めに受験校を決めないといけなかったり、大学ごとにいちいち診断書を書いてもらわないとならず、障害者手帳のコピー提出も不可だったので、その分余計なお金と時間を費やさないといけなかったのが憂鬱でした。

--一連のご経験を踏まえ、日本社会に足りないもの、改善が必要だと思われることをお聞かせください。

レミ:まずは難聴者に対する正しい知識だと思います。「聞こえないから〇〇できないですよね」とレッテルを貼ってくる人は未だに多いですし、間違った思い込みや、偏見がまだまだあるなと感じます。そのあたりを改善してもらえるだけでもだいぶ変わると思います。

次に、社会的なサポート体制を充実させることです。どんな問題がある人でも、できる限りみんなと同じように過ごせることができる社会になってほしいと思います。できないこと、拒否されること、煩わしい手続きなどが多いので、耳が聞こえなくてもできる権利を与えられてたり、プランを選択するような感じで手軽に物事が進んだりすると過ごしやすくなるかなと感じます。いい意味で、特別扱いがなくなってほしいです。

--これまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。

レミ:最初はこんな多くの人に見てもらえると思ってなくて、たくさんの人が共感のコメントをしてくださるおかげで自分に自信がつきました。また「応援してます!」など労いの言葉をかけてくださる人も多くて、すごく嬉しかったです。これまでずっと自分はまだまだだと感じていたのですが、味方が増えたような気がしてこれからも頑張ろうと思えました。これからもSNSを通して、私自身や聴覚障害などのことについて知ってもらえたら嬉しいです。

◇ ◇

先日、政府が主導して開催された東京オリンピック・パラリンピックのスローガンには「多様性と調和」というものが含まれていたが、今回のような現実を目の当たりにすると虚しいかけ声にしか聞こえない。レミさんのような思いをする人がいない社会を実現するためにはわれわれ一人一人が意識を変えてゆくしかないのだろう。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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