「うちの近くでも見かける」街なかで崩壊した建築物が増えている その理由とは?

街なかで崩壊した建築物が増えているという指摘がSNS上で大きな注目を集めている。

きっかけになったのは

「ここ数年街歩きをして思うのは、崩壊している物件に出会うことが増えたなということ。以前は山奥の集落とも言えないような場所に多かったのだけど、ちょっと地方に行けば街なかでも見かけるようになった。持ち主がいなくなり、解体する人もおらず、ただ朽ち果てていく営みが着実に街にも近づいている」

という藤沢うるうさん(@fujisawa_uruu)の投稿。

実際にそう感じる人は多いようで、藤沢さんの投稿に対しSNSユーザー達からは

「これ税金対策だと思ってたけど、ここまでなってもこうしてる方がお得なのかなぁ。実家の近くには車も入れない、公道なのか私道なのかわからない場所にこんな家がいっぱいある。」

「まさに実家付近がそうなっています。廃屋と更地がどんどん増えて、歯抜け状態。リアル眠そうな町。」

「首都圏郊外の地元でも、崩壊物件に出くわす事多々あります。

蔵まで所有する名家であったのに、所有者が亡くなり、後継ぎもいないので放置されるしかない…。

単身者用のアパートや駐車場になるのは、まだ恵まれている例なんでしょう。

放置では不審者のたまり場になり、治安の悪化が懸念されます。」

「半分朽ちていて、廃屋だろなぁと思って入り口前に自転車停めて仕事してたら中からお爺さんが現れて怒られたことがあります。」

など数々のコメントが寄せられている。

藤沢さんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):近年、街なかで崩壊している物件が増えている理由はなんでしょうか?

藤沢:空き家が増えていることが理由だと考えています。総務省の調査によると、2018年時点で「賃貸・売却用」、「二次的住宅(別荘等)」を除いた空き家は350万戸あり、この数は20年前と比較すると倍増しています。

また、1970年代の高度経済成長時代に着工のピークを迎えた戸建住宅が築50年を迎えます。(新設住宅着工戸数/1973年:190万戸、2020年:82万戸)購入した世代の子が親元を離れ同居しない場合、その家の住人が高齢者施設に入居したり亡くなったタイミングで空き家となってしまうことが多いです。

1970年代に開発されたような街では住民のライフサイクルが終焉を迎え、相続されても使われることもないため空き家が増え、さらに住宅が築50年を超え耐えられなくなったことで、崩壊する物件が街なかでも見られるようになったのだと思います。更地にせず建屋が残っていると固定資産税が1/6というのも大きな理由です。

中将:制度面でも大きな問題があるのですね。投稿に対し数々のコメントが寄せられました。

藤沢:「うちの近くでも見かける」といった声が多かったです。「治安が悪くなるので心配」、「行政の積極的な介入が必要」といった声も聞かれました。

◇ ◇

日本の空き家、土地に関する制度は"土地を遊ばせない"という考えのもと構築されているようだ。しかし、地方の過疎化、人口減が進む現代にあってその考えはいささか適切さを欠く部分が出ているのかもしれない。

なお今回の話題を提供した藤沢さんは日々、SNSやホームページで近代建築の魅力を発信。

昨年には関東大震災からの復興時に建てられた建築を紹介する書籍「復興建築」(トゥーヴァージンズ)の執筆に参加されている。建物を遺すことの大変さ、大切さを感じ取ることのできる名著なので、ご興味のある方はぜひチェックしていただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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