学習塾の経営者は小学6年生…小さな“起業家”奮闘の1年 コロナで休校中も授業「自宅学習助けたかった」

“小学生起業家”としてテレビや新聞などで話題になっている三重県鈴鹿市の小学6年生の浜口祐衣(ゆい)さん。昨年3月に起業して小学生向けの学習塾「こどもLabo」を開校。同じ小学生の子どもたちに勉強を教えています。もうすぐ起業してから1年が経つということで、祐衣さんに起業した当時のことを振り返ってもらいながら学習塾のことや今後の抱負などについてお話を伺いました。

起業のきっかけは、友だちとのアルバイトの話から…「自分は起業して働きたい」

祐衣さんが起業しようと思ったきっかけは、5年生の秋。友だちとの会話からでした。友だちに「高校生になったら、どういうアルバイトをしたい?」と聞かれたそうです。そこで「アルバイトで人に雇われて働くんじゃなくて、自分で起業して働きたいな」と答えた祐衣さん。そのことを親御さんに話したところ、地元で開催している起業セミナーの参加を勧められ、セミナーに足を運んだといいます。

最初は「楽しそうじゃん」と思って参加したという祐衣さん。実際に参加してみて「周りの大人の人たちは私みたいに軽い気持ちで参加したのではなく、どういうことをしてどれくらいの収益を上げてといったことをきちんと考えていらっしゃた方が多いと感じました。私も『本気でやらんといかんな』と思い立ち、真剣に起業を考えるようになりました」と振り返ります。

実際に起業に向けて動き出した祐衣さんはまずは何をやるかを決めました。

「まだ小学生なので資格なども取れないし、大きな会社を立ち上げて従業員を雇ってといった大きなことはできないなと思って。自分の好きな勉強を教えることをやってみようと、学習塾を開くことにしました」

起業セミナー参加後、学習塾を開校を目指して準備 先輩起業家の両親に相談も

実は、祐衣さんのご両親も揃って“起業家”。お父さんは車のカスタムショップを経営、お母さんはネイル教室を開講しています。そんな先輩起業家であるご両親をはじめ、参加したセミナーの先生に開業前は相談したそうです。

「両親には自分が考えた起業プランを見せて『いいんじゃない』と言われ、セミナーの先生も『小学生が学習塾を開くのは珍しいから、結構来てくれるのでは』と褒めていただいて自信がつきました。また、セミナーの先生からは『いくら内容のいいことをやっても知られていなかったら意味がない』とアドバイスもいただいて。まずは、自分の学習塾をいろいろな人に知ってもらうための集客が大事だなと思いました」と祐衣さん。

そこで「今の若い保護者さん方はSNSを使いこなしている方が多いです。紙のチラシを配るよりも、TwitterとかInstagramなどのアカウントを作って、積極的に自分の学習塾をSNSを通じて集客に努めたんです」。

■昨年3月から開業したが…新型コロナ感染拡大で小学校も臨時休校に

集客をしながら無事に準備を進めてきましたが、開業した昨年3月から新型コロナウィルスの感染拡大により学校は臨時休校に。全国各地の小学生は自宅での勉強を余儀なくされるという事態になったのです。そんな状況下だからこそ少しでも自宅学習の助けになればと、祐衣さんは学習塾を臨時開校しました。

授業の際、生徒さんには入室前に石けんで手を洗ってもらい、その後アルコール消毒なども徹底。非接触型の体温計なども準備して検温も行ったそうです。祐衣さんは「授業中もマスク着用を守ってもらうなど感染対策をしたうえで、授業に望みました。初めての生徒さんは最初緊張していたようですが、共通の趣味などの話で盛り上がり楽しんで利用していただきました。また、子どもの私を信頼してご依頼してくださったお母さま方に感謝の気持ちでいっぱいです」と笑顔。

■「小学生が学習塾を開校」とメディアでも話題に 春には中学生、今後の抱負は?

現在、授業は毎週木曜日の夕方2時間。祐衣さんは国語や算数など生徒さんが学校で分からないところや教えてほしいところを中心に指導しているといいます。4年生や6年生の生徒さんが通っているそうです。

授業の始めには、祐衣さんが自分で作った「計算問題」を生徒さんと一緒に誰が一番早く解けるかを競い合っているとか。祐衣さんは「先生といえども手加減せずに解いています。最近は、本気でやっても4年生の生徒さんに負けそうになることも。計算力が強くなったようで、とてもうれしいです」と生徒さんの成長に喜んでいます。また、祐衣さんの授業について生徒さんたちは「分かりやすい」「楽しい」と話しているそうです。

今年春には、中学生になるという祐衣さん。今後の抱負や将来の夢などについてもお話していただきました。

「中学になって、学習塾を両立ができるかどうか不安なところもありますが、授業は続けていきたいなと思っています。今後は1時間も遠くから通ってくださっている生徒さんもいますので、オンライン授業も取り入れようかと。さらに、他の講師の方と連携を取って授業をやってみるのもいいなと考えています。将来は海外に行って、世界の教育の現場を見て回りたいです。各国のいいところを参考にしながら教育関係の仕事に携わりたいです」

小さな“起業家”の夢はとっても大きいです。ぜひ叶えてくださいね。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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