「トランプタワーに住んでいたなんて言わない方がいい」ほどの逆風 それでも元住人が再選を予想する理由

 4年に一度、世界が注目するアメリカ大統領選挙。再選を目指すトランプ大統領の動向が日本でも話題になっています。ニューヨークコレクションのファッションデザイナーとして活躍し、トランプタワーの住人でもあったアケミS.ミラーさんにトランプ大統領のことや、2020年アメリカ大統領選挙のことを伺ってみました。

■トランプタワーには世界中の有名人が居住

 トランプ大統領といえば「トランプタワー」を思い浮かべる人が少なくありません。それほど象徴的な建物がニューヨーク5番街にあるトランプタワーです。

 アケミさんに大統領選を占ってもらう前に、この建物について触れたいと思います。トランプタワーは最高級マンションと最高級オフィスからなる商業ビルで、高さは202メートル。58階建ての建物ですが、1階正面にある巨大なアトリウムが10階分に相当する高さを占めているため、最上階は68階となります。

 住居部分は35階から68階まで。大統領になる前は妻メラニアさん、息子のバロンくんと一緒に、最上階66階~68階の3フロアが住まいでした。

 現在、アケミS.ミラーさんは大阪で「アケミS.ミラービューティースタジオ」の代表を務めていますが、7年前まではニューヨークに在住。1993年からスタートしたニューヨーク・ファッションウィークの1回目の初日にダナ・キャラン、カルバン・クラインと共に唯一の日本人デザイナーとして作品を発表し、アメリカのメディアも大注目した人物です。

 以来、25年間にわたり、ニューヨークで大活躍し、その頃はトランプタワーの60階に住んでいました。同じ階にはジャネット・ジャクソン、サラ・ブライトマン。当時、マイケル・ジャクソンやビル・ゲイツ、映画監督のスティーブン・スピルバーグなどの住まいもあったというから驚きです。

 マイケル・ジャクソンにトランプタワーに住むようにすすめたのも他ならぬトランプ氏本人だったとアケミさんが教えてくれました。

 「マイケルがあることで、マスコミの取材攻勢にあい、自宅に帰るのもままならない状況のときにトランプ氏から”世界で最も安全なところはトランプタワーだ。ここは警備も徹底していて、これ以上安全な場所はない”といわれて引っ越してきたそうです」

 というのも住人は5番街の正面のドアからではなく、住民用の玄関があり、そこから出入りできます。そうすれば、多くのトランプタワーのスタッフの視線があり、毎日、あちこちから声がかかります。

 「パパラッチや見知らぬ人が潜り込む余地はまったくないですね」

 住人専用のエレベーターが4基あり、24時間エレベーターマンが乗っています。朝は玄関前にリムジン・ハイヤーが何台も列をなします。大統領になる前には「しばしばトランプ氏と玄関前のロビーで顔を合わせていた」とアケミさん。トランプ大統領誕生後、ビルの回りのセキュリティーはさらに厳しくなり、いまは安易に近づけなくなったそうです。

■トランプ大統領は住民にどう思われている?

 トランプ大統領はマンハッタンの中にトランプタワー以外にもトランプビルを数多く所有しています。その中の一つ、マンハッタンのアッパーウエストサイドの最高級コンドミニアム「トランプ・プレース(Trump Place)」の住民たちが「トランプ」の標識撤去を求めたことがありました。実際、2018年10月には建物正面にあった「トランプ」の標識が外され、話題にもなりました。

 ここに来て「トランプ」不支持の表れなのか、他の地域でも同様の広がりを見せていて「トランプ」の名称が入った標識が関連ビルやマンション、ホテルなどで撤去され出しているとか。

■「トランプの再選」を予想

 アメリカの知人は、アケミさんに「トランプタワーに住んでいたなんて言わない方がいい」とアドバイスしたそうです。それほど、トランプ大統領に逆風が吹いているのでしょうか。それでもアケミさんは「トランプ氏が勝利する!」といいます。

 これまで、実際にトランプさんに会ったり、見たり、聞いたりしてきたアケミさん。「トランプ氏には何があっても最後まであきらめない強さがあり、今回の新型コロナ騒動でも『つらい!』とは言わないしぶとさや、ガッツを感じさせられた」といいます。だから今回の大統領選挙でも「何をしてでも粘り強く勝つことしか考えていない。それがトランプ氏がデベロッパーとして成功して来た根源にあるということです」

 前回の2016年、クリントン氏が有利と見られましたが、結果は大逆転しトランプ氏が大統領に。「いまのところ、対立候補が有利と言われていますし、アメリカの知人もトランプの敗戦を予想しています。でも、2020年の大統領選挙も結果は最後まで分からないでしょうね」とアケミさん。

 そして「これまでトランプ氏は実業家で、トランプタワーの住人の大富豪が、そのままやりたい放題の言動を、大統領になってもしていた。そのため、国民を考える前に自分の政略を動かすことしか考えていなかった」。もしも、再選を果たしたならば「期待しすぎかもしれませんが、これからの4年間はアメリカの大統領としてのトランプ氏の考えや行動を見たいと思います。そして、大統領として国民のことをまず考え、国民のためにしっかり働いてほしい」と語ってくれました。

 11月3日のアメリカ大統領選挙は、アメリカ国民だけでなく、世界中が注目しています。果たして、そのゆくえは?誰もが気になるところです。

(まいどなニュース特約・八木 純子)

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