「プールの水抜いてみた」…気を引こうとキレッキレで踊る飼育員と「完全塩対応」のホッキョクグマが話題

 池ならぬプールの水を、泳ぎにくいほど抜いたホッキョクグマ水槽の前で、ガラス越しにキレッキレでジャンプしたり横飛びしたり、床にスライディングする飼育員。でも、それを見せられた当のクマ(女子)はというと…何度か寄っては来たものの、チラ見しただけで完全「塩対応」。その姿にネット民大ウケの動画が話題になりました。「女心と秋の空」なんて言われますが、一体、何が起きたのでしょう。

 この動画を撮影し、YouTubeに投稿したのは秋田県男鹿市の「男鹿水族館GAO」。日本海に突き出た男鹿半島にある水族館で約400種1万点の生き物を飼育しています。ホッキョクグマは2頭おり、動画に登場したのはメスのユキ(20才)。オスの豪太(16才)との繁殖を目指し、昨年、兵庫県の姫路市立動物園からやってきました。

 そのユキのため、「普段とは違う飼育環境で刺激になるようにと、水中の様子が見られるプールの水位を、泳ぎにくくなるぐらい下げてみた」といい、その反応を動画に収めて多くの方に見てもらおう!と意気込んだというのですが…。文字通り「体を張った」飼育員、田口清太朗さんに聞きました。

■キレッキレ…でも最後は…

-かなりの塩対応にしか見えなかったのですが…。

「最初は楽しそうに遊んでいたと思うのですが…。ツンデレ対応はまぁ想像通りで普段のユキの様子から、『たぶんそうなるだろうなー』と思いながら一人頑張っていました」

-「相手にしてもらえなく残念」と慰めのコメントもたくさん…。

「裏の部屋では、オリ越しに人がジャンプして見せたりすると、とてもいい反応をしてくれるんですよ。でもガラス越しでは違いましたね…」

-「飼育員さんキレッキレ」「身体能力すごい」と称賛の嵐ですが、これくらいの動きは当然? かなり鍛えていると見ました。

「スポーツや筋トレは全くしていないです。まだ(?)34歳なので短時間なら頑張ればまだまだ舞えますよ!ただ…実は、映像ではカットされていましたが最後の方で『オエッ』ってなってます」

-オスの豪太ならどうでしょう?お客さんに反応したり、工事の人のヘルメットに反応する画像を見たことがありますが。

「水位下げは以前、何度かしましたが、やはり回数を重ねると慣れてしまって。豪太は普段、泳いでいるところに遭遇すると遊んでくれるときがあります。こちらが急に走りだすと追いかけるのではなく、急いで上陸して、陸からこちらをめがけて豪快に飛び込んでくることがありますよ」

■「変化」は「刺激」…“野性”をかきたてる仕掛けも

 この動画を配信した理由について、「動物が楽しくしている様子や、飼育の工夫をご覧いただきたいと思いました」と田口さん。「実際に来館されても、生き物ですから、寝ている姿しか見られない場合もありますので、せめて動画で活発な様子をと。でも視聴数の多さにはびっくりです。ホッキョクグマがたくさん遊ぶはずの動画が、飼育員はほぼ無視されている動画になってしまい狙いとは外れてしまったのですが…」と照れくさそうです。

 「手すりを乗り越えたり、寝そべったりしていいの?」という至極真っ当な指摘コメントも寄せられましたが、「もちろんその通りです。撮影は閉館中だったのですが、ユキの気を引きたくてちょっと羽目を外しすぎたかもしれません…。手すりも含め掃除はきっちりしておりますが、くれぐれも真似はしないでください」と反省の弁も。

 同水族館では、動物たちの意外な顔を伝えようと、他にもさまざまな動画を配信中。「変化は動物にとって“刺激”になる」といい、先日はホッキョクグマにイノシシをエサとしてあげたことも。「普段なら10分くらいで終わる食事に豪太は1時間半、ユキは3時間かかりました。彼らにとって1日に暇な時間がたくさんあるよりも、おもちゃで遊んだり、長い時間をかけて食事できる方が良いと考えています」と話します。

 そんなこんなで飼育員もさまざまな知恵を絞りながら…だそうですが、田口さん曰く「プールの水を抜いてみた」チャレンジ、実はもう一回リベンジしたものの、「慣れてしまったのかなんとノーリアクション。水位が下がったプールに入ろうともしませんでした。その日の気分次第なのか…。しばらくしたらまたやってみます!」とのことでした。やはり、女ゴコロは難しい??

(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)

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