バービーボーイズ「♪目を閉じて、食べにおいでよ」…スーパーまずい棒! そこには銚子電鉄の目を閉じられない現実も…

スーパーまずい棒です。いや、コレ袋から出てきたら…(提供)
バービーボーイズのメンバーと記念写真に納まる竹本勝紀社長(左から3人目)
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 今月18日に29年ぶりの新曲「PlanBee」をリリースし、注目を集めるロックバンド、バービーボーイズ。代名詞とも言える名曲「目を閉じておいでよ」ならぬ、「目を閉じて食べ」ないと食べられない見た目の「スーパーまずい棒」が話題を集めている。発売元はあの銚子電鉄(本社・千葉県銚子市)。その裏には相次ぐ台風被害で、とても目を閉じてはいられない深刻な状況があるという。

 「目を閉じて食べなよ」と書かれたパンクなパッケージを開けると、中から出てきたのは一面カビだらけの…ように見えるスナック菓子。お世辞にも美味しそうとは言いづらい。

 千葉県を始め、東・北日本に大きな爪痕を残した台風15、19号とその後の大雨。相次ぐ廃線危機を乗り越えてきた銚子電鉄も、駅の屋根や壁が暴風で破損した上、主力商品「ぬれ煎餅」の工場も屋根が壊れ、2本ある生産ラインのうち1本が使えない状態になってしまったという。「私共はせんべい屋でございますから、せんべいが作れなくては…」と竹本勝紀社長。いや一応鉄道屋さんだとは思うが「設備の修理だけなら保険でなんとか賄えたんですが、もっと深刻だったのはその後だったんです」と声を落とす。

 千葉県の緊急調査によれば、台風が直撃した今年9月の観光施設への入込客数は県全体で前年同月比29%減。10月には35.7%減と大幅に落ち込んだ。台風で長期の停電や断水などの被害を受けた南房総地域以外にも広がり、銚子電鉄の通る北総地域も9月には18.7%減、10月には36%減まで落ち込んだ。

 「鉄道の運賃収入も少しはありますが、乗って下さったお客様や千葉に来られた方がお土産に私共のせんべいを買って下さるからこそ回っているんです」と竹本社長。「台風襲来以降、9~11月の売り上げは前期比マイナス2千万円、資金繰りは逼迫しております。電車の混み具合も前はパラパラだったのに今ではガラガラ、このままでは会社が解体してバラバラになってしまう」「『まずい』なんて言ってる場合じゃない、『スーパーまずい』だ!…というワケで『スーパーまずい棒』を作ることになったんです」と話す。

 社運を賭けただけあり、商品には相当のこだわりと“自虐”が込められた。外見は「雨に濡れて青カビだらけになった」体で。でも、味は子どもだけでなく大人も大好き炭火地鶏味。「ただ…できあがった商品を試食してたら、美味しいけど…やっぱりモノを見たら全く食欲がわかないんですよね…。プロデューサーの寺井広樹さんと『目を閉じて食べたら美味しいのに…』とあれこれ話していたら、『目を閉じて』といえばあの曲しかないよね…!となりまして」と力を込める。

 パッケージを手掛けるホラー漫画家の日野日出志さんにオファーしたところ、日野さんが公式発表より2カ月以上前にツイートで“発表”。そこにバービーボーイズのいまみちともたか(イマサ)さんが反応し、事務所に送り付けた商品が公式ツイッターでも紹介されるなど「トントン拍子に進んだ」(竹本社長)とか。ついには記念すべき新譜リリース日に「スーパーまずい棒」の発売日をぶつけ、リハーサル終わりのメンバーを“急襲”し、記念の盾を手渡した。早速、「目を閉じて」試食したボーカルのコンタさんは「うまい!」と一言。見た目についても「ブルーチーズみたいだよね」と好意的だったという。

 本質は、とかく目では見えにくいもの。あの頃、親の目を気にしながらあの曲を聴いた人たちも、若い人も子どもたちも、ほら、目を閉じれば、見た目がフツウと違ってもその味が何か分かる、かもしれませんよ?

(まいどなニュース・広畑 千春)

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