ブルガリ、ロレックス勤務→老舗酒造の蔵人 イタリア人男性、偶然に導かれて日本酒の世界へ

日本酒造りといえば、代表する日本の伝統文化のひとつ。そんな古くからの日本文化に新しい風が入ってきている。300年続く酒蔵でイタリア人の男性が酒造りをしているとのことで訪ねた。

福井県敦賀駅から車で約30分。美浜町の静かな街並みから、さらに細く入り組んだ道を進んでいくと、創業1718年の貫禄ある酒蔵「三宅彦右衛門酒造」にたどり着いた。年季の入った黒い焼杉の外壁と蔵の小さな窓に風情を感じる。車を降りると、爽やかな風が吹き、ゆったりした時が流れていた。

輝くように明るい笑顔で出迎えてくれたのは、イタリア・フィレンツェ出身のジョバンニ・ムニッキさん。すっかり日本に馴染んではいたが、知っている日本語は酒造りに関してだけということで、イタリア語通訳の藤本氏を通して話を聞いた。

--日本酒との出会いはいつ頃だったのですか?

「30年ほど前に、イタリア・フィレンツェに和食屋さんが開店したんです。日本人の友人と一緒に行き、初めて日本酒というものを味わいました。燗で出されたので、なんだか特殊なお酒だというのが第一印象でした。刺身は食べませんでしたが、和食との相性がとても良い飲み物だったことを覚えています」

--日本酒造りに携わろうと思ったきっかけは?

「これは全くの偶然なんです。オペラ歌手である日本人の妻と出会い、イタリアにいる時は、ブランドショップのブルガリやロレックスで働いていました。子供が小学生になる時に、妻の実家がある福井県美浜町に移動してきて、蔵に入る前はゴルフ場で働いていたりもしていたのです。知人から、蔵人をやってみないか?と声を掛けられて、酒造りを始めて10年が経ちました」

--美浜町は好きですか?

「はい、好きです。でも、やはり、良い部分と良くない部分があります。良いことは、大自然に囲まれていること。美しい山と海があり、環境に恵まれていることです。良くない部分は、私はフィレンツェ出身ですので、美浜町は静かすぎてしまうのです。だから、たまに京都に遊びに行ったりしています」

--日本で好きな地域はどこですか?

「仙台です。大きな街ですが、きれいな山があり自然も感じられるところが好きです」

--今後のジョバンニさんの夢や目標はありますか?

「日本酒に関わることは確かですが、具体的には秘密です(笑) 自分がイタリア人ということで蔵のPRに貢献できていますし、これを活かして、世界へ日本酒の魅力を広めて行きたいと思っています」

(まいどなニュース特約・吉田 綾子)

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