「苔パフェ」登場! 人気のコケテラリウム…宝塚の専門店が本物そっくりに制作

 長らく植木の世界で日陰の身として、ひっそり生息しつづけてきた「苔(こけ)」。それが今、静かな脚光を浴びつつあります。先日も、人気テレビ番組「マツコの知らない世界」で苔マニアの舞台俳優が登場し、熱く語っていました。そんな折、SNSで「苔パフェ」なる画像を発見して驚きました。コロンとした円錐型のガラスの器の中にこれは…抹茶パフェ…?いやどうもアイスにかかっている緑の粉が苔っぽい…気が。まさか苔の粉末、いやそれはないか…?何にせよ、グルメサイトなどに寄せられる「苔パフェ」に関するコメントを拝見すると皆さん、美味しく賞味なさっている様子。調べてみると、宝塚にあるカフェ「パルコジョキ」で供されているようです。詳しい話を同店販売部、濱嵜秀夫さんに聞きました。

 「PARCO GIOCHI(パルコジョキ)」は兵庫県宝塚市の山本地区にあります。山本は千年の歴史を持つ、日本3大植木産地の1つとして愛好家に知られてきました。中でも有名なのが、明治18年創業の園芸店、「陽春園植物場」。千坪の敷地内には四季折々の樹木や花が並べられています。そんな老舗が昨年秋に流行りの兆しをいち早くとらえ、新規事業を立ち上げました。それが前述の「パルコジョキ」です。同店は主に、ガラスの水槽や容器の中で、熱帯植物や苔を植え、外部から極力干渉することなく生育する「パルダリウム」や「テラリウム」などを扱っています。中でも苔を主体にガラス内の環境をつくりあげる「苔テラリウム(コケテラリウム)」に力を入れているそう。そうです!「苔パフェ」はこの「コケテラリウム」を模したパフェだったのです。店舗内は3つのスペースに分かれていて、パルダリウムやコケテラリウムの完成品や育成に必要な用品を売るショップ、ワークショップを行うイベントスペース、そしてカフェになります。

 「お店を立ち上げる時に、コケテラリウムにちなんだメニューを作ろう、とスタッフ皆で知恵をしぼって考案したのがこの『苔パフェ』です」と濱嵜さん。「いかにして、コケテラリウムの質感を出そうかと素材から吟味しました。試行錯誤をくり返して抹茶のアイスクリームに抹茶パウダーを振りかけて苔の風情を演出しました。自家製ワッフルをベースとなる土(ソイル)になぞらえ、そこにあずき、抹茶わらび餅、ほうじ茶クリームで地表のさまざまな表情を出し、アクセントに石ころに見えるようストーンチョコレートを散らしています…いかがですか」

 アイスの上にかかっているのは抹茶だったんですね…すごく「コケテラリウム」っぽいから本物だったらな…って。

 「そう言っていただけてうれしいです(笑)。『食べるのがもったいない』とおっしゃるお客様もいます」

 実際に食べてみると、抹茶パウダーがしっかり苦みを主張してきて、それがアイスやほうじ茶クリームなどの優しい甘みとよく合います。抹茶の香りに見た目も相まって、まさに苔そのもの、いや土、石、苔が混然一体となった、甘い大地のかたまりが喉をすべり落ちていくがごとくに感じます。それぞれ質感の異なる複数のスィーツの食感の違いも楽しいです。

 「ええ…ただ難点としては、制作に時間が掛かるんです。苔パフェは日にもよりますが、1日20点ほどは出ます。忙しい時でも、コケテラリウムの世界を精緻に表現するために1点1点、手作業で集中して制作していくとなると、時間が…」

 ちなみに1点つくる所要時間は?

 「1つのパフェを作るのに5分弱ほどかかります」

 うーん、確かに忙しいときに注文が重なると大変かも…でもこの美しい苔パフェのクォリティをぜひ保ち続けて欲しいです。

 ちなみにカフェ壁面のパルダリウムは濱嵜さんが丹精こめて制作した作品。顧客の好みに応じた1点もののパルダリウムも制作しているそう。また濱嵜さんはふだんはカフェではなくショップで販売をしている、パルダリウムやコケテラリウムの専門家。苔パフェをきっかけに興味が出てきた人はぜひそちらものぞいてみては。(まいどなニュース特約・山本明)

◆「苔パフェ」900円(税込)

◆「パルコジョキ」店舗詳細 http://parco-giochi.net/

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