泥だらけになって楽しむ田んぼアート 今年の絵柄は「消防車」

 日本のデンマークと言われている地域。皆さん、どこかご存知だろうか?答えは…愛知県安城市。農業が盛んかつ、地産地消ということが有名で、日本のデンマークと呼ばれている。

 そんな安城市で毎年恒例の行事が開催された。その名も「ふれあい田んぼアート」、違う種類の稲を植えて、成長した頃に巨大なアートが浮かび上がってくるという。今年の絵柄は「消防車」で、消防車といえば赤。赤色の稲は青森県から取り寄せるのだという。

 この稲は東北の寒い地域に対応しており、暑さに弱いので、ここ愛知の猛暑を耐え抜けるかどうか心配だと語るのは、実行委員長の大嶋和則氏(50)。今回で13回目となる当日は、風は強かったが晴天に恵まれ、子供から男女学生まで、さらに大人からお年寄りまで幅広い年齢層の人たちが裸足になり、泥の中に入り、苗を植える。日本ならではの、なんとも穏やかで心安らぐ光景だ。

 13年前2007年に田んぼアートを始めたきっかけを大嶋氏は「せっかく日本のデンマークと言われている地域なのに、もっと皆さんに知ってもらえないか?と地元の農業家3人と話していたんです。農業の大切さとともに、安城の活動PRとなれば、と思い始めました。1回目に200名ほど集まり、それが13回目の今では640名の多くの方々に参加いただいてます。」

 ー田んぼアートを通して良かったと思われることは何ですか?

 「なにより子供たちが喜んでくれるんですよ!泥んこになりながら、苗を植え、それが季節の変化ともに成長し、稲になる。そういう体験を経て、自然の大切さ、食へのありがたさを感じてくれれば、なお嬉しいですね」

 ー大変なことはありますか?

 「すべてボランティアなんです。参加費もありません。だから農家はみんな、本業の合間をぬってこのイベントに携わっているんです。忙しいを理由に関係者が減ったりするのは残念ですが、絵が仕上がった時には、今年もやって良かった!とひそかな喜びに変わるんですよね」

 ちなみに、アートに使う稲の色は、基本的に黒紫、黄色、緑なのだそう。

 緑の稲は、愛知県産の酒米「若水」とよばれるもの。稲で刈った後の若水は100%、地元の酒蔵「神杉酒造」へ行き、美味しい日本酒に姿を変えるという。これもまた地元の人々にとっての醍醐味のひとつになるのだ。

 7月20日頃には、アートが一番綺麗に見える時期なので、鑑賞祭を予定している。当日はクレーン車に乗ってアートを眺めることも可能だ。近くの橋の上からも見えるそうなので、稲で出来上がる消防車の田んぼアートが今からとても楽しみだ。10月には稲刈祭も開催される。その後の日本酒造りにも期待が膨らむ。

(まいどなニュース特約・吉田綾子)

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