コカインを注射器で打てるのか?薬物経験者が明かす実態「真実を伝えて」

薬物をテーマに対談したKEI氏(左)と牧師の進藤竜也氏=都内
薬物をテーマに対談するKEI氏(左)と牧師の進藤竜也氏=都内
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 コカインを使用した容疑で逮捕されたミュージシャンで俳優のピエール瀧被告(52)を巡って、麻薬を巡る議論がメディアやネット上で飛び交った。実際に麻薬と関わり、今春、著書を出版した2人の元暴力団員による対談を都内で取材し、背景や対策のヒントとなる言葉を拾った。

 米国の刑務所を生きたKEI氏(57)のドキュメンタリー映画「HOMIE KEI~チカーノになった日本人~」の公開を機に、同氏と牧師の進藤竜也氏(48)が薬物をテーマに対談。KEI氏は5月に「チカーノKEI 歌舞伎町バブル編」(東京キララ社)を発売。進藤氏は4月に「元極道牧師が聖書を斬る!マタイの福音書(上)」(みつば舎)を刊行し、フジテレビ系「ザ・ノンフィクション」で教会に集う人たちと共に出演した。

 【コカインとは】

 KEI氏は「コカインには『ハイ』と『メロウ』の2種類がある」という。「鼻から吸引するのがハイで、コロンビアやメキシコから来ている。日本で出回っているのはハイ。米国で社会問題になっているクラック・コカインはコカインを精製して水パイプで吸うものでメロウと呼ばれ、アルゼンチンなどから来る。精製していないコカインなら罪は軽いが、メロウは終身刑まである」と解説した。

 映画には、日本でメロウにはまったKEI氏の仲間が登場するが、1年で23億円を使ったという。同氏は「水パイプのホースを長くしてトイレや風呂でも吸っていた」と依存性の強さと金銭的な負担の大きさを明かした。

 【麻薬と芸術】

 表現者が麻薬とかかわってきた歴史がある。KEI氏は「米国の有名なミュージシャンは覚せい剤でもコカインでもなく、ヘロイン。ヘロインをくうと、同じ場所から動けなくなり、18時間くらい妄想にふける。その中で作品を作ることは不可能。薬物で表現が…とか、自分はありえないと思う」と断言した。

 【薬物を断つこと】

 進藤氏は「やめられないから依存症なのであって、やめるためにはより強い依存が必要。私の場合はキリスト。刑務所で聖書を読んで『これだ』と。自分の人生に1本芯が入るものがあれば変わることができるのでは。出所して『もう刑務所に入りたくない』という人は教会に住み込ませている」と語る。

 KEI氏は「覚醒剤中毒で2年間どっぷり浸かっていた19歳の時、お袋に注射器を割られて『このやろー』って、道具(拳銃)で3発撃ってパクられて…。お世話になった警察の人に『もうちょっと利口になれよ』と言われ、悔しくてピタッとやめた」と明かす。

 【薬物報道】

 KEI氏は「真実を伝えてほしい。テレビのコメンテーターが『コカインを注射器で打ったり…』と言っていたが、ありえない話。コカインを水に溶かしても片栗粉のようで、打つと体がけいれんし、注射を打つ手も震えて腕が血だらけになる。あってはならないことだが、テレビを見た若い子が注射器で打って心臓が止まるケースもあるかもしれない」と危険性を指摘。進藤氏は「1回刑務所に入るとレッテルを貼られ、セカンドチャンスがない。罪を償った人のやり直しをサポートし、回復の道を見守るべき」と訴えた。(デイリースポーツ・北村泰介)

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