工業地帯の近くで産まれた黒猫、保護猫を愛する家族の元ですくすく

 野良猫は、安全な公園や住宅地にいるとは限らない。メルトくんは、親子で工業地帯の近く、大きな幹線道路のそばにいた。近所の魚屋さんがエサをあげていたので食べ物には困っていないようだったが、いつトラックにひかれてもおかしくない状況だった。

■工業地帯の近くにいた野良猫一家

 メルトくんは、2008年5月末頃に産まれた。子猫の頃は、神奈川県にある魚屋さんの近くで一家揃って暮らしていたという。

 お母さん猫、お父さん猫、3匹兄弟の野良猫は、魚屋さんにエサをたくさんもらっていたが、野良猫一家は、工業地帯近くの大型トラックがビュンビュン走る大きな幹線道路の近くにいて、いつひかれておかしくない状況だった。子猫たちは、8月にボランティアさんが保護したという。ただ、3匹の子猫のうち、黒猫のメルトくんと白黒の子猫はすぐに捕獲できたが、白い子猫は逃げてしまって行方が分からなくなったそうだ。

■飼うなら保護猫と決めていた

 神奈川県に住む岡本さんは、以前近所の動物病院が里親を募集していた保護猫を飼ったことがある。結婚後は仕事が忙しく、お子さんがアレルギーだったので、動物を飼えなかったという。

 「子供が高校を卒業する頃、アレルギーが落ち着いてきたので、そろそろ猫を飼っていいかなと思いました。出産前も保護猫を飼っていましたし、出産後も近所のおじいさんが猫にエサをやっていて、もらい損ねた野良猫がうちの庭によく来ていたんです。メルトを飼う前から保護猫のことはよく知っていて、猫を捨てる人は許せないと思っていました。ブランド猫のアメリカンショートヘアやマンチカンを飼っている人から、飼いにくいと聞いていたこともあり、飼うなら保護猫にしようと。ペットショップで買おうとは思いませんでした」

■威風堂々とした黒猫

 「友人が黒猫を飼っていて、その子が可愛かったんです。大人しくて、のんびりしているから飼いやすいと聞いていて、私も黒猫が好きなので、里親募集サイトで黒猫を探してメルトを見つけたんです」

 2008年9月、初めてメルトくんに会いに行った岡本さん。メルトくんの保護主さんは、スムーズにやり取りができて、感じがいい人だったという。

 「譲渡条件もきちんと説明してくれて、メルトの性格もよくご存知だったので、よく世話をしてくれていると思いました」

 10月26日、メルトくんは岡本さん宅にやってきたのだが、少し怖がりながらも、おもちゃを出したらすぐに遊び始めたという。「メルトくん」という名前は、部屋が真っ暗だと闇に溶け込んでいてどこにいるのか分からないという意味で、お子さんが名付けたそうだ。

 「食欲も旺盛で、ご飯にはすぐに食いついてきました」

 ぐんぐん成長したメルトくんは、体重6kgの立派な体格で、威風堂々としている。現在11歳、後にやってきた保護猫リアちゃん、テンちゃんと仲良く暮らしている。

(まいどなニュース特約・渡辺陽)

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