陸のキャビア「キャビアライム」とは?和歌山で見つけた希少フルーツ

 和歌山・紀の川市の「観音山フルーツガーデン」。山すそに広がる広大な敷地でみかんや桃、レモンなど豊富な種類のフルーツを栽培しながら、ドライフルーツや蜂蜜など、加工品の生産・販売も行う、約100年続く老舗果樹園だ。その中で、一昨年初収穫を果たした珍しいフルーツがある。それが「キャビアライム」だ。

 フィンガーライムとも呼ばれ、トゲのある低木に実がなる。一見オクラかピクルスのように細長く、長さは4~7センチ程度とさまざま。表面には柑橘類を思わせる細かい凹凸がある。特徴は切ると中からあふれだすツブツブの果肉。まさにキャビアのような見た目だ。

 「香りは山椒のようで、味はライム。プチプチとしっかりした食感が魅力です」と観音山フルーツガーデンの児玉芳典さん。酸味や苦味、爽やかな香りが楽しめるという。

 オーストラリア原産で、現地在住の日本人女性が「最近人気がある」と教えてくれたのがキャビアライムを知ったきっかけだという。高級食材として、すでに欧米の有名レストランの間では知られる存在だったが、日本ではまだ栽培されていなかった。そこで児玉さんは、面白い柑橘だと栽培に着手した。

 「透明感のあるグリーンや薄いピンク、ブラッドオレンジ色など、さまざまな色でキラキラ光る果肉はとてもみずみずしく、かつ愛らしい。現在、4種類のキャビアライムを栽培しています」

 フランスでは、主に濃厚な味わいの牡蠣と共に食されるという。

他のメニューでもトッピングや付け合わせに用いられるというから、爽やかにピリッとしたアクセントを効かせる使い方で、食欲をそそられそう。また、見た目の良さから、カクテルのトッピングに用いる店もある。「お料理を引き立てるのに無限の可能性を秘めていると言えますね」(児玉さん)。

 今年は台風の影響もあって、出荷数はわずかだったが、3年目となる来年はより多くの収穫を見込む。「キャビアライムは、苗木を植え付け育てます。栽培当初は情報がないので、鉢植えで育てたりもしたし、水を与えたり、逆に与えず乾燥した環境で育てたりと、試行錯誤の連続でした。しかし、私は新しくて面白いモノが大好きな性格。希少性の高いこのフルーツを最初に日本で植え、最初に出荷したいというワクワク感を原動力に取り組みました」

 柑橘王国・和歌山の起爆剤になればと児玉さん。今年はすでに販売終了しているが、来年は15グラムを1080円~1620円(税込み)で1人45グラムまで注文を受ける予定だ。(おふぃす・ともともライター 國松珠実)

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