神戸で話題「焼肉のタレ」自販機 洗濯機で作る独特製法、確かな味でリピーター続出

 “焼き肉の本場”のひとつ、兵庫の神戸・長田にユニークな店がある。昭和41年オープンの「平沼商店」がそれ。精肉店も併設しており、新鮮でリーズナブルなところが何よりの魅力。だが、名物となっているのは「焼き肉のタレの自動販売機」だ。しかも、その製法が独特だった。

 夏本番。スーパーなどでは焼き肉コーナーがお目見えし、おいしそうな精肉が並ぶ。場所によってはバーベキューセットのコーナーも設けられ、レジャー気分を盛り上げる。「冬=鍋」に対し「夏=焼き肉」が今やすっかり“定番”だ。

 もちろん、焼き肉は肉が命。しかし、脇役のタレも甘く見てはいけない。店によっては「肉より大切」と豪語するところも。おいしい高級肉をさらにおいしく、そうでない肉もそれなりに。そんな“魔法のタレ”が神戸の長田にあり、今や名物になりつつある。昭和41年、精肉店をもとに焼き肉店も始めた「平沼商店」。なぜ、そこまで評判になっているのか。そのひとつはタレの味。その販売方法も「自動販売機」とユニークだ。2代目店主の平沼謹郎さん(48)が笑顔で話す。

 「今では定着して、もみダレとしても結構重宝されています。最初はもの珍しさで買って行かれ、おいしいということでリピーターになられる方が多いみたいです」

 日々研究を重ねた自家製の特製タレはしょうゆベースの甘口、ミソを加えた普通、さらにミソと唐辛子を加えた辛口の3種類。一般的なそれと比べ少々辛めで、値段は甘口と普通が500mℓで630円(1ℓだと990円)、辛口が500mℓで660円(同じく1050円)だ。

 24時間購入できることもさることながら、もっと変わっているのはその製法。何と驚いたことに「洗濯機」で作っているというのだ。決して手抜きをしているわけではなく、おいしさを求めた結果。もちろん洗濯機は焼き肉のタレ専用で、当然のことながら全自動ではない。

 「全自動だと、えらいことになりますからね」と平沼さん。「タレづくりはかなりの重労働。なかなかうまく撹拌(かくはん)できないので、何かいい方法はないかと思っているところ、洗濯機を見て“これだ”と思った。やり始めてかれこれ40年。これだと滑らかなタレが一度にたくさん作れます。洗濯機のダメージは早く、中には2年ほどでダメになりますが、味のためなら仕方ないです」

 タレはネット通販されるなど、これまで以上に注目を集めているが、もともとは精肉店からスタートしており、主役の肉も絶品だ。取材した日は上ロース、ハラミ、カルビ、ホルモンミックス、上ミノ+タン、ツラミの塩焼きという「おすすめセット」(2800円)と生ビールを注文。うわさ通り心底満足できる味と値段だった。

 「阪神が勝ったら、ぜひ焼き肉を」と平沼さん。「焼き肉の日」は8月29日だそうだが、平沼商店のタレは連日の大活躍を続けている。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)

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