【プロ格闘ゲーマーの肖像3】“週末ヒーロー”のネモ~会社員との二刀流で奮闘

 注目が高まる「プロゲーマー」の世界。格闘ゲーム業界でも、大会で賞金を稼ぎ、スポンサーと契約して収入を得るプロが2010年代から日本にも登場した。だが、そこは実力勝負の世界。将来への不安からプロ専業に二の足を踏むゲーマーも多い。そんな彼らの気持ちを代弁しながら、会社員との“二刀流”を具現化している社会人プロがいる。

 その名は「ネモ」。本名・根本直樹。大手ゲームソフト販売・開発会社「スクウェア・エニックス」の社員であり、土日はプロとして大会に出場する“週末ヒーロー”である。

 ゲームを専業としたことはない。10年間、システムエンジニアとの兼業で活躍し、16年7月にゲーミングPCブランドの「ALIENWARE」と契約を結んでプロに。今年1月、スクウェア・エニックスに入社。3月、米国・オランダに拠点を持つ名門プロチーム「Team Liquid」に加入した。

 「理解のある職場でやらせていただいてますが、仕事は仕事と考えています。平日の夜は仕事をきちんと終わらせてからゲームの練習。海外の大会は普通に有休を使って行く感じですね。仕事の時間帯を自分で決められる裁量労働制なので、仕事さえできていれば、別にいつ帰っても大丈夫なので、15時くらいに上がれる日はそこから練習したり、午前中にイベントがあれば午後に出社するとか。イベントを土日にやれば、月曜休みで練習したり、海外の大会に当てたり。自分にとってはいい制度ですね」

 裁量労働制と有給休暇を活用してのプロ活動。これはゲームの世界に限らず、会社に勤めながら表現活動や趣味などに生きがいを求める人にも通じる。

 「プロゲーマーは基本的に専業でやってる人が多いです。兼業でやってるのは自分くらい。やっぱりプロゲーマー1本では将来が不安という悩みを若い世代の方も抱えていて、なかなかプロにならない方も多いと思うんですね。そういう人をなくしたいというところで、自分がゲームと関係した職について前例を作っていけば、夢を与えられるかと。先駆者としてやっていけるかと。今年は行ける大会にどんどん出て行こうと思っています」

 ネモの生き方には、堅実さと柔軟性を併せ持つライフスタイルが貫かれている。(デイリースポーツ・北村泰介)

 ◆ネモ 1985年1月5日生まれ、東京都出身。名前の由来は本名の根本から。

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