「情熱大陸」敏腕プロデューサーが“卒業” 17日が集大成

 「この番組で自分自身も成長させていただきました」。そう語るのはドキュメンタリー番組「情熱大陸」(MBS制作)で5代目プロデューサーを務める福岡元啓氏(43)だ。世界一のクリスマスツリープロジェクトに挑むプラントハンター・西畠清順氏を密着した17日の20周年記念1時間スペシャル(TBS系)の放送回で“卒業”する。

 ラジオ番組「ヤングタウン」のディレクターや報道記者、経済記者、TVバラエティー番組ディレクターを経て、2010年に同番組の担当に。バトンを受けたときすでに人気番組だっただけに「視聴率だけではなく、クオリティーも問われる番組でかなりのプレッシャーはありました」と振り返った。

 意外にも番組制作のための会議は一切ない。人物選びから企画まで全てを一任されている。しかも密着撮影のために常に20クルーを動かし、各クルーへ指示を出しているということから激務であることは想像に難くない。36歳で就任し、そこから7年以上ゆっくり休めた日はない。休日はあっても常に番組のことが頭にあった。

 7年のプロデューサー任期は非常に長い珍しいケースだが、その分得るものも多かったという。これまで350人以上の人物に密着。印象に残った人物は、男気があって義理堅い元広島・黒田博樹氏、革命的な活動を続けるメディアアーティストの落合陽一氏、カヤックを操り海とともに生きる冒険家・八幡暁氏と挙げれば切りがない。

 「折れそうになったことはあったが、台本にない人生を見つめさせてもらって本当に良かった」。一番の肝となる人物選びについては「本気で生きている人」「他人と違う生き方をしている人」「自分の人生を生きている人」だという。

 今後は新規事業を担当する。同局の後輩に番組を託すが「大変だと思うが、とにかく自分の色を出してほしい」とアドバイスを送った。情熱大陸を卒業する敏腕プロデューサーの答辞だった。

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