水都大阪に人々を呼ぶ巨大アヒル 12日に出現予定

 2009年夏、大阪・中之島に突然現れた巨大なアヒル、「ラバー・ダック」。高さは9メートル以上あり、一度見たら忘れられないインパクトだ。アヒルは世界各地の水辺を巡りながら、大阪にも毎年登場しており、この12日(日)には大阪市住之江区の名村造船所大阪工場跡地で行われる「すみのえアート・ビート2017」の会場にやってくる。

 丸っこい黄色の体につぶらな瞳が愛らしいが、ゆるキャラではない。オランダの芸術家、F・ホフマン氏による現代アート作品だ。見る人は知らず知らずのうちに、アヒルが風景の中に「展示」されているのを「鑑賞」していることになる。

 アヒルを大阪に招待しているのは千島土地(株)。水辺の芸術祭「水都大阪2009」の準備段階で、同社社長が海外での展示の事例を知ったことがきっかけとなった。当初、展示はイベント予算でまかなえるはずだったが、予算が大幅に削減されることになり、同社が「連携事業」という形で費用を負担することにした。

 同社の地域創生・社会貢献事業部、不動産事業部の課長である中嶋敬幸さんは、その奇抜なアイデアに驚いたという。「ビジネスになるわけではないし、そもそも川の上という規制が厳しい場所で展示できるのだろうか」と心配だったが、何とか実現にこぎつけ、来場者からも予想以上の好評を博した。「アヒルにまた会いたい」という多くの声に応え、警察や治水事務所など官公庁の協力も得ながら、イベントに合わせてアヒルを展示している。

 大阪の水辺は、「水都大阪」が提唱された頃から整備が進んでいる。人々が今までより水辺に親しむことができ、また、アヒル展示のようなことも行えるように、規制緩和されてきているそうだ。他の都道府県からも、アヒルを誘致したいという声は上がっているが、大阪のように諸条件が整わず、2012年に広島で展示して以来、他の土地では実現していない。

 ただでさえアヒルは波や風の影響を受けやすく、細心の注意が必要だ。初回は原因不明の穴が開いて約2週間「入院」する羽目になり、2013年の水上パレードでは橋げたにひっかかってしぼんでしまった。この10月末は、台風で中止となった。そんな不安定さも持ち合わせながら、今や携帯電話のカメラやSNSの普及などもあり、全国に人気が広がっている。北海道や九州など遠方から訪れる人もいるほどだ。

 千島土地(株)では以前から、今回アヒルを展示する北加賀屋地域の活性化にも力を入れており、若手アーティストの集う街として定着しつつある。中嶋さんはアヒルの事業についても同様に考え、「大阪の活性化に繋げていくために、目先の収益にとらわれず、長期的な視点で取り組んでいきたい」と話している。(デイリースポーツ特約記者・福岡 桃、写真はHiromitsu Morimoto)「ラバーダックプロジェクト」

http://www.hetgallery.com/rubber-duck-project.html

◆「すみのえアート・ビート」は12日(日)11:00~16:00、名村造船所大阪工場跡地(クリエイティブセンター大阪)で開催。入場無料。

関連ニュース

ライフ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス