豊後竹田駅の人気猫ニャー 駅に住み着き10年…観光客を招いて地域に貢献

 JR豊後竹田駅(大分県竹田市)に10年ほど前から住み着いているキジトラのメス猫・ニャー(推定10歳)が人気だ。今年7月末、長年にわたって駅の利用者を出迎える姿が地元紙で紹介されて以来、「ニャーに会いたい」と猫好きのファンがやってきている。どんな猫なのか、会いにいってきた。

 ニャーは地域の人たちが世話をしている地域猫。同駅に現れたのは今から10年ほど前という。駅構内にある竹田観光案内所に勤務する藤野めぐみさん(45)は、当初からずっとニャーの世話をしている。「どこからやって来たのかはわかりませんが、ある日ひょっこり現れ、駅に住み着くようになりました。愛想がいいので、撫でられたりエサをもらったりして、駅を利用する人たちに可愛がられるようになったんです」と振り返る。

 子猫時代のニャーは狩りが大好き。「ネズミやもぐらなどを捕まえて私のところに持ってきたこともよくありました(笑)」(藤野さん)。駅前で待機するタクシー運転手の中には、おやつのエサをあげるのを楽しみにしている人やニャーの行動を気にかける人もいる。

 5年ほど前には、別の野良猫が駅に何匹か集まるようになり、藤野さんは保護猫活動をしている知人に相談。ニャーのファンで観光ボランティアガイドの衛藤頼光さん(72)とともに費用を出し合い、ニャーの避妊手術をしてもらった。ちなみに案内所内には「ニャー貯金」という封筒があり、毎日のえさ代などは、藤野さんや衛藤さんはじめ、地域の人たちの寄付でずっとまかなってきた。

 今年7月、ニャーのことが地元紙に大きく紹介されると、1日2~10人程度だが、ニャー目当ての観光客が増えた。「福岡や埼玉など、遠方からわざわざニャーに会うために来られて、その後、お城や温泉など市内の観光地を巡るという方もおられます」(藤野さん)といい、招き猫としても活躍。9月からニャーは観光案内所“所長”の肩書をもらった。

 いまニャーは、人間でいえば60歳くらい。最近は1日の大半を観光案内所でのんびり寝て過ごすことが多い。長年暮らしてきただけに駅や案内所は居心地がいいようだ。待合室で電車を待っている高校生の膝の上にひょいと飛び乗ることもある。一見、目つきが鋭くてこわい顔にみえるが、実はとても人なつこく、撫でられると気持ちよさそうな表情を浮かべる。定期的にブラッシングしてもらっているからか、毛並みもきれいでふわふわだ。取材時には、隣の豊後大野市からきた女性(58)が、駅前のベンチでくつろぐニャーを携帯のカメラにおさめ、笑顔で帰っていった。

 藤野さんは「これまで病気をしたことはありませんが、これからは寒くなるので体調には気を配っていきたい。これからもずっと元気でいてほしいです」と話し、優しい眼差しをニャーに向けた。(デイリースポーツ特約記者 西松宏)

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