元阪神エース・井川慶氏の熱すぎるサッカー愛 カタール大会展望やW杯思い出たっぷり語った

 サッカーW杯について熱く語った井川慶氏
 巨人戦で力投する井川慶=01年
 井川氏注目の吉田麻也
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 プロ野球セ・リーグ最後の20勝投手であり、メジャーでもプレーした元阪神エースの井川慶氏(43)が、サッカーW杯カタール大会を前に、熱すぎるサッカー愛を披露した。プロ野球選手として輝かしい実績を残した一方で、実は球界屈指のサッカー通。今大会の展望、思い出のW杯など…野球選手とは思えないほどのマニアックな知識や独自の観戦術も明かし、日本代表へのエールも送った。

  ◇  ◇

 ◆大会の展望と期待

 今回はカタールで、初の中東開催ですし、ヨーロッパのシーズン中の大会ということがどう影響するかですね。あとは開催国と優勝国の関係。アメリカや中南米で開催されると南米勢が8大会中7度、ヨーロッパ開催ならヨーロッパ勢が11大会中10度と優勝が多い中、どちらが有利というのはないのかなと。

 注目国はいくつかありますが、やはり日本と同組のドイツとスペインは気になりますね。どちらも優勝候補ですが、日本には何とか目標のベスト8以上を達成してもらいたい。仮に予選突破できなくても、善戦できればドイツかスペインが優勝すれば、日本の戦いが評価されるかもしれないですし。そういった意味でも、この両国がどういう戦いを見せるかは気になりますね。

 優勝予想は難しいですが、南米勢に期待しています。例えばアルゼンチンでは、メッシが35歳ですか。年齢的に最後のW杯かもしれないですよね。前回のロシア大会を思い返した時に、日本-ベルギー戦以外でパッと浮かぶのはアルゼンチン-フランス戦なんです。

 決勝トーナメント1回戦の対戦でフランスが4-3で勝利。フランスのエムバペが2得点しましたが、印象に残っているのは彼ではなくメッシでもなくて。アルゼンチンのボランチであり、センターバックもこなせるマスケラーノです(笑)。負けましたが、なぜか記憶に残っています。

 ◆井川流サッカー観戦のポイント

 僕自身、サッカーをやったりした時には、キーパーを務めることが多くて。先ほどマスケラーノの名前を挙げたように、サッカーを見る上ではキーパーとディフェンダーの動きに目がいきますね。

 どうやって守るのか、いかに相手のフォワードをつぶすのか。局面局面では個の部分もありますが、全体を見ると組織で守らないといけない大変さがありますね。状況を見ながらプレスをかけにいく選手と、連動してカバーに動く選手も必要で。野球のようにサインで動くわけではなく、個々の判断や連携面の難しさですよね。

 あとは、フォワードは何回かミスしても1点取ればオッケー。でもディフェンダーやキーパーは無失点の「クリーンシート」で終えることで、良かったと言われるというか。そこがピッチャーと重なりますね。

 バッターは3度失敗してもチャンスで1本打てばいいと言われたりしますが、ピッチャーは1度打たれたことをすごく言われる(笑)。ピッチャーが点を取られなければ負けないのと一緒で、キーパーも点を取られなければ負けることがないというところも似ていて、背負う責任とかつらさが分かるので、後ろの選手を見てしまいます。

 ◆思い出の大会

 まずは生で見た試合ですね。2002年の日韓共催の大会。長居での日本-チュニジア戦を観戦できたことは本当に思い出深くて。最初にリアルタイムで見た大会で言うと、1990年のイタリア大会を少し見たところからで、94年のアメリカ大会からしっかり見始めました。ただ、印象に残っている過去の試合は、82年のスペイン大会準決勝、西ドイツ-フランスなんです。

 西ドイツには日本でもプレーしたリトバルスキーがいましたね。サッカーを好きになってからビデオで見たんですが、延長戦の前半にフランスが2点取って、後半に西ドイツが2点取って追い付いてPK戦。西ドイツがキーパーのシューマッハのセーブもあって勝ったんですけど、こんな展開が起こりえるんだなと、強烈に印象に残りましたね。

 あとは70年メキシコ大会の、ブラジル-イングランド戦ですね。これは試合の中でのワンプレーで、ブラジルのペレがたたき付けたヘディングを、イングランドのキーパーのバンクスが、斜め後ろに飛ぶような形でかき出したセーブが本当にすごいなと。今でも動画はあると思うので、ご存じでない方にはぜひ見てもらいたいですが、少しマニアックすぎますかね(笑)。

※スペインW杯…1982年に開催された第12回大会。1次リーグと2次リーグを勝ち抜いた4チームによる準決勝ではイタリアがポーランドを下し、西ドイツはW杯史上初めて行われたPK戦の末、フランスに勝利。決勝ではイタリアが西ドイツに勝ち、3度目の優勝を果たした。

 ◆日本代表への期待

 今は海外の有名なクラブでプレーしている選手も増えて、厚みがありますね。メンバー発表の記者会見も見ていましたが、前回のロシア大会でベルギーに負けてからもう4年ですか。前大会経験者が6人で、初選出が19人と多いですが逆にそこが楽しみ。今の若い選手たちは海外でもプレーしていますし、メンタル的にも、臆すること無く自分の力を発揮できるのかなと。

 前線の鎌田選手や三笘選手、久保選手らに注目が集まりがちですが、僕としてはキャプテンの吉田選手ですね。今でこそ増えてますが、日本の大型ディフェンダーとして若い時から代表で活躍してきた選手というのと、先ほど触れたように後ろの選手に注目するのが僕なので(笑)。

 川島選手、権田選手、シュミット選手のキーパー陣も楽しみ。強豪国に勝つには、後ろの選手の活躍が不可欠で、普段あまりサッカーを見ない方には、そういった選手にも注目してもらいたいですし、僕も楽しませてもらいます。

 ◆井川 慶(いがわ・けい)1979年7月13日生まれ。43歳。茨城県出身。左投げ左打ち。投手。水戸商から97年度ドラフト2位で阪神入団。2006年オフにポスティングシステムでヤンキースに移籍した。07年4月7日・オリオールズ戦でメジャー初登板。12年にオリックスで日本球界復帰。15年に退団後、17年には独立リーグのBFL兵庫でプレーし、同年オフに退団。現在は野球解説などでも活躍。NPBではMVP、ベストナイン、沢村賞(いずれも03年)

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