「ロシアW杯・H組、日本0-1ポーランド」(28日、ボルゴグラード)
日本は0-1でポーランドに敗れたが、大会規定により同組2位で2大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出を決めた。コロンビアに0-1で敗れたセネガルとともに勝ち点4で、得失点差、総得点、直接対決の結果でも並んだが、警告や退場による「フェアプレーポイント(FP)」の差で上回った。FW岡崎慎司(32)=レスター=ら6人が今大会初めて先発。前半を0-0で折り返したが、後半14分に失点して敗戦。FPは3試合で警告4枚のマイナス4だった日本に対し、セネガルは同6枚でマイナス6だった。
試合後のスタジアムに熱闘をたたえる拍手は響かなかった。0-1で迎えた最終盤。セネガル-コロンビア戦の結果をにらんだ日本は、リスクを冒さず自陣でボールを回し続けた。勝ちきれなかった。地鳴りのようなブーイングと共に、西野ジャパンは決勝トーナメントの切符を手にした。
「(最後は)チームとしては本意じゃない。戦略的なことなので。こういう形も成長していく中での一つだと思う」。西野監督は厳しい表情を崩すことなく、あくまでクールに激戦を振り返った。
地獄にたたき落とされた一撃だった。0-0で迎えた後半14分。ゴールに向かって左側からのFKを相手DFベドナレクに決められた。あまりにも痛い失点だった。
ここまで的中続きだった西野采配が、運命の大一番で裏目に出た。中3日で迎えた第3戦。気温36度のボルゴグラードの一戦で、西野監督は「ゲームを良い形で進めていて、疲れが半減しているのかなと思うが、実際は1人1人が疲弊した状態」と分析。ここまでの2試合で不動としていた先発メンバーを一気に6人も入れ替え、布陣も「4-2-3-1」から「4-4-2」に変更した。
それは自身の哲学を貫いたとも言える決断だった。ロシアで戦う23人を決めて以降、折に触れ、控え組の重要性を説いてきた。事実、W杯前最後の強化試合だった12日のパラグアイ戦で2得点を挙げたMF乾は「負傷もあって、途中からのアクセントと思っていたが、パラグアイ戦で良い試合ができた。あのゲームからかなり先発に(近づいた)」と本大会では主軸に抜てき。躍進につなげた。
大幅なメンバー入れ替えという大胆な策。それでも指揮官の期待を意気に感じた侍たちは、粘り強い戦いを見せて前半は0-0。リードこそ奪えなかったが、ほぼプラン通りに45分間を進めた。
だが、後半開始早々、歯車が狂い始めた。FW岡崎が右足首を痛めて負傷交代。そして迎えた同14分に先制被弾。失点に絡んだのは、FKを与えたMF山口と、相手に振り切られたDF酒井高。第3戦を託し、今大会初先発となった6人のうちの2人だった。
追いかける展開となった後半20分には、今大会の“シンデレラボーイ”となった乾を投入。さらにMF長谷部を投入して3バックにシフト。総力戦、そして試合中の布陣変更は就任直後から温め、本大会までの強化試合で試してきたもの。ただ“ジョーカー”として結果を残したMF本田、先発で攻撃の中核を担ったMF香川は、いずれもベンチで戦況を見つめざるを得なくなった。
最後は、フェアプレーポイントの差でセネガルとの2位争いが決着。まさに綱渡りの采配で、西野JAPANが何とか16強への道をつないだ。