乾W杯初弾!大舞台で夢かなえた これぞ「セクシーフットボール」の真骨頂!

 「ロシアW杯・H組、日本2-2セネガル」(24日、エカテリンブルク)

 H組で国際サッカー連盟(FIFA)ランキング61位の日本は同27位のセネガルと2-2で引き分けて1勝1分けとし、2大会ぶりの決勝トーナメント進出に前進した。常に先行を許したが、MF乾貴士(30)=ベティス=とMF本田圭佑(32)=パチューカ=のゴールで2度追い付く粘りを見せた。日本はポーランドと対戦する28日の1次リーグ最終戦で勝つか引き分ければ、自力で2大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出を果たす。

 乾の右足が日本に希望をもたらした。柴崎のロングフィードに走り込んだ長友の折り返しをペナルティーエリア内で受けると、乾は軽く右に持ち出し迷わず右足を振り抜いた。放たれた低い弾道は、鮮やかなカーブを描いてファーサイドのゴールネットを揺らした。前半34分。日本が試合を振り出しに戻した。

 「どこかでああいうシュートを打ちたいと思っていた。思い切って打った結果」

 悲願のW杯初出場で初得点を決めた。興奮を抑え切れない背番号14は跳び上がり、雄叫びを上げながら右拳を突き出し、仲間の待つ歓喜のベンチに体を投げ出した。「身体能力も高いし足も速いが、ポジショニングだったりはルーズになってくると思うので、そこを突いていければ」と話していた通り、一瞬の隙を見逃さなかった。

 生粋のサッカー小僧が大舞台で輝きを放った。「本当にサッカーが好きで、そこに対する努力を惜しまない。サッカーへの熱量はすごかった」。滋賀・野洲高時代の恩師、山本佳司監督(54)は振り返る。入学直後、進路希望のアンケートで第1志望に「サッカー選手」と書いた。記入が必須だった第2、第3志望は空欄のまま。進路課に突き返されると、全て「サッカー選手」と埋めて提出した。思いは一筋だった。

 部室からリフティングをしながらやって来て、最後までグラウンドに残っていた。夜10時を回っても、水銀灯の薄暗い明かりを頼りにボールを蹴り続けた。台風が上陸し、学校から帰宅命令が出てもジャージーに着替えだした。「家に帰れ」と一度は学校を追い出しても、帰るふりをして隠れるように一人グラウンドにやって来た。試合で自身のプレーに納得がいかないと、試合会場から自宅を通り越して野洲高のグラウンドに戻り、一人練習を積んだ。「そういうことが日常だった」と山本氏は話した。

 世界最高峰スペイン1部で磨いた高い技術をいかんなく発揮した。1-1の後半19分には大迫のヒールパスに抜け出し右足で狙ったが、シュートは惜しくもクロスバーをたたき、勝ち越し点には至らなかった。左サイドを何度も上下動し、守備にも奔走した。同23分には体を張った守備でイエローカードも提示された。

 献身が実を結んだのは1-2とリードを許した同33分だった。左サイドで大迫からのパスをダイレクトで折り返し、本田の同点ゴールをアシストした。後半42分に宇佐美と交代でピッチを後にする際には、身長169センチの小さなマタドール(闘牛士)をねぎらう、大きな拍手に包まれた。

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