なでしこのGK山根、3・11の誓い

 W杯や五輪といった世界大会で、3大会連続ファイナル進出を果たしたなでしこジャパンは、リオデジャネイロ五輪アジア最終予選で敗退した。11年W杯ドイツ大会で優勝し、「なでしこフィーバー」を巻き起こした彼女らは、厳しい現実に直面することとなった。

 既に出場権獲得の可能性が消滅した9日の最終戦、FW岩渕真奈(22)のゴールで1-0で勝利した北朝鮮戦後の場内インタビューで、大粒の涙を流したのが身長187センチの大型GK山根恵里奈(25)だった。守備ラインとのボール回しでは連係ミスもあり、安定感は欠いたが、顔面セーブを含め、長い手足を生かして完封勝利に貢献。試合終了の笛が鳴ると同時に涙がこぼれた。

 「1戦目の責任をすごく感じていて…。今更遅いけど、本当に悔しくて、ピッチでしか取り返せないと思って強い気持ちでピッチに立ちました。どんな時でも日本のゴールを守り切る、大きなキーパーになりたいです」。オーストラリアとの初戦で3失点した悔しさをかみしめながら、声を震わせた。

 今大会前、山根は「いつ、どんな時でも忘れないですよ」と話していたことがある。東日本大震災。5年という節目の日に、五輪の切符という手土産を持って、被災地に行く計画を企てていた。

 09年から東京電力女子サッカー部に所属。震災当時、山根は福島県双葉町にある寮に住んでいた。震災以降、部は活動を自粛。故障も重なり一時は引退も考えたが、引き留めてくれた一人が、佐々木監督だった。スケジュールが未定で、当日に行くかどうかは決めていないというが「現地には一時帰宅以来、かれこれ4年くらい行っていない。予定が空いたら必ず行こうと思っています」。五輪の切符を取れなかった悔しさを、伝えに行くつもりだ。

 昨年のW杯カナダ大会でGKの柱としてゴールを守った海堀さんが引退し、正GKのポストが空席になっていた今大会。その穴を埋めるだけのGKが、定まらなかった。韓国戦では、ハイボールに対してGK福元とDF熊谷との連係ミスから失点。正GKの確立と連係強化は、新生なでしこ再生のためには必要不可欠である。

 「4年間かけて、この責任を取り返したい」と誓った山根。187センチの体に余りあるほどの、大きな大きな信頼を得られる、日本の守護神になってほしい。(國島紗希)

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