FW岡崎がキリン杯で示した肉体的進化

 6月となり、世界各地ではサッカーの代表戦が行われている。欧州選手権(フランス)や、南米選手権(アメリカ)など、ハイレベルなカードがめじろ押し。バヒド・ハリルホジッチ監督が率いる日本代表も、キリン杯で3日にブルガリアと、7日にボスニア・ヘルツェゴビナと対戦。ボスニアに敗れたため準優勝となったが、9月から始まるロシアW杯のアジア最終予選に向けた、最後のテストマッチを終えた。

 ボスニア・ヘルツェゴビナとの対戦で浮き彫りとなったのは、体格差で劣る状況での試合運び。相手は最新のFIFAランクが20位と、同53位の日本よりも格上だったが、主力メンバーが多く欠場していただけに、勝ち目もあった。

 ただ、技術面でも世界クラスである主力組を欠いたボスニアは、パワーを前面に押し出してきたため、結果的には日本にとってはかなり相性の悪いスタイルとの戦いになった。屈強な選手への対応に苦慮し、時にはピッチ上でのコンタクト時に吹き飛ばされるシーンも目立ったが、そんな中の日本でも際だった強さを見せたのが、FW岡崎慎司(レスター)だった。

 英国・プレミアリーグで奇跡の優勝を果たしたチームの一員でもある岡崎。その肉体的な進化は、一目で分かるものだった。体の分厚さが圧倒的に増し、体のサイズがぐんとアップ。日本代表の公式資料によると、岡崎の公式プロフィルは身長174センチで、体重は76キロ。だが、現在のベスト体重を聞かれた岡崎は、さらりと答えた。「80キロは超えてますね。意図的に筋肉量を増やそうとして取り組んだので」。

 岡崎の身長は、キリン杯メンバー25人の中ではMF大島僚太(川崎=168センチ)、DF長友佑都(インテル・ミラノ=170センチ)、FW浅野拓磨(広島=171センチ)、MF清武弘嗣(ハノーバー=172センチ)に続く、5番目に低い。だが、体重で見るとフィールドプレーヤーとしては最重量級となっている。

 体のサイズアップに関してはさまざまな考え方があるが、激しい肉弾戦が求められるプレミアに今季初挑戦の岡崎は「レスターではブンデス(ドイツ1部)でやっているときよりも、厳しい体勢でもらうシーンが多いので。だから筋力を上げる必要性を感じた」という。そして「計画性を持ってチームでのウエートトレーニングを取り入れています。筋肉を増やしたので、動きづらさなどはないですね」と、その成果を口にする。

 ボスニア戦に話を戻す。後半17分にはパスを追いかける岡崎が、いきおい余って相手GKと正面衝突。だが、このピッチに転がったのは身長190センチ、体重90キロのGKシェヒッチ。もちろん、走り込んできた岡崎の勢いも加味しないといけないが、正直、信じられないような光景だった。

 鋼の肉体によってフィジカル的な強さを得た岡崎だが、ボスニア戦ではシュートゼロの無得点。後半24分には途中交代。これがシーズンの最終戦となり「FWとしては悔しい気持ちしかない。シュートを打てなかったことは反省している」。その上で「もっと日本代表の勝利に貢献できるように、(W杯の)最終予選に向けてしっかり準備をしていきたい」とさらなるレベルアップを誓った。これまでの武器である献身性や泥臭さ、敏しょう性だけでなく、日本人の弱みの一つでもあるパワーも身につけた岡崎。史上3人目となるAマッチ通算50得点に王手をかけている日本のエースの、さらなる進化に注目したい。(デイリースポーツ・松落大樹)

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