アギーレ1号武藤ダ~ン「時止まった」

 「キリンチャレンジカップ、日本2-2ベネズエラ」(9日、横浜国際)

 サッカー日本代表は、ベネズエラ代表を相手に2‐2で引き分けた。途中出場のFW武藤嘉紀(22)=FC東京=が後半6分に、先制点となる“アギーレ・ジャパン第1号ゴール”を記録。さらに1‐1の後半22分には、この試合が代表デビューとなったMF柴崎岳(22)=鹿島=がネットを揺らした。だが、同26分に失点。ハビエル・アギーレ監督(55)の就任2戦目も初勝利を逃し、通算1分け1敗となった。

 天は“何物”も与えた。0‐0の後半6分、ピッチに一陣の風が吹いた。センターサークル付近でクリアボールを拾うと、武藤は快足を飛ばした。「一人目のDFで倒れなければいけると思った」。約25メートルを駆け抜けると、左足一閃(いっせん)。鋭い弾道が、ゴール右隅を射抜いた。

 「時が止まったような感覚。歓声も聞こえなかった」‐。歓喜の瞬間をそう振り返った。6万4000人を超える大歓声すらも耳に入らない、極限の集中状態。シュート前にはFW本田、岡崎も見えたが「パスコースがある段階で打つ方が、相手GKも迷う」。冷静に、しかし大胆に代表初ゴールを決めた。

 Jリーガーとして活躍する現在も、慶大に籍を置く現役大学生。明せきな頭脳に加え、精かんな顔つきで一気にブレークしたが、苦悩の時期もあった。3年前の大学リーグ戦で左膝の半月板を損傷。「ボールを蹴れない時期もあった。蹴ってもすぐに痛みが出たり、水がたまったり」

 今でも違和感はあるというが「それが左足の感覚だと思ってやっている」。今季、W杯の中断期間までは13試合でわずかに2得点だったが「そこからシュート練習を欠かさずやってきた成果かな」。苦境を乗り越えたからこそ今がある。

 試合後、アギーレ監督から「ムイビエン!(よくやった)」、かつて同じく大学生JリーガーだったDF長友からも「当時の僕より能力は格段に上。海外に挑戦して自分の道を開いて欲しい」と賛辞を送られた。それでも「通用した部分もあったが、足りない部分も見えた。謙虚に、レベルアップしていきたい」。シンデレラストーリーには、まだ続きがある。

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