サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」の2011年W杯優勝メンバーで日テレ東京VのDF岩清水梓(39)が27日、都内で取材に応じ、今季限りで現役を引退することを発表した。国内リーグ313試合、なでしこジャパンとして122試合に出場した“レジェンド”がユニホームを脱ぐ。
目に涙をためながらも、表情は晴れやかだった。「今シーズンをもって引退を決断しました。やりきった感はあるので決断した次第です」。理由は純粋に、自身の満足するプレーができなくなったから。所属チームでは試合を締めるクローザーとして出場機会はあったが「選手はプレーできてなんぼ。そこのところが自分はやりきって、今この決断に至った」と話した。
20年には長男を出産。その後、母としてピッチに戻り、23年に皇后杯優勝を経験。「第1章第2章って考えると。W杯もあって(第一章)、その後母となっても戦力として皇后杯を優勝できたのはすごく思い出に残っています」と振り返った。
引退は昨季を予定していたというが、24年8月に負った左膝前十字靱帯損傷の大けがのリハビリが想定より長くなり「最終的に2試合しか絡めなかった。みんなとも練習を1カ月くらいしかできなかったので、ちょっと悔いが残って」。関係者には引退を伝えていたが、「もう一回やらせてください」と撤回し、1年延長した。
26年間の現役生活。一番の思い出を問われると「う~ん。まあいろいろ…W杯優勝っていうのは、やっぱり自分のサッカー人生において、すてきな時代にすてきなメンバーとサッカーをやらせてもらった。すごく自分がやってきたよかったなと、間違いなかったなっていうのは確信できる出来事だった」と述懐した。 決勝のアメリカ戦では、2-2の延長後半終了間際、相手選手の独走を止めるためペナルティーエリア直前で後方からタックル。主審にレッドカードを出されたが、絶体絶命のピンチに退場もいとわずゴールを死守し、その後の優勝を決めるPK戦につなげた。
現役でのベストプレーを聞かれた岩清水も「みなさんが知ってるのでいうと…代名詞でしょ」と苦笑いを浮かべながらこのプレーを挙げた。
「レッドカードでしょ。岩清水イコールたいになってる。多分覚えてもらったシーンですけど、あれは狙ってないです。いつも通り取りにいったら…でもかわされなくてよかった。今考えたらギョッとするプレーだった」と懐かしんだ。
捨て身のプレーにチームメートからも感謝の言葉をかけられた。それでも本人は「あれがあったからって言ってくれるのは、その後のフリーキックが入らなかったからってみんなに言ってる」。「だから紙一重だったんです。自分の人生は。あれで優勝したからみんなにそうやって覚えてもらった」と語った。
現役引退後は、学校訪問などの日テレ東京Vのホームタウン活動に力を入れる予定だという。将来的な指導者の道にも関心があり「A級ライセンスはこれから取らせてもらいます」としつつ、「子どもの成長もみたい。授業参観に行きたいので」と、優しい母親の顔を見せた岩清水。しばらくは“子どもファースト”でいく考えを明かした。
岩清水梓(いわしみず・梓)1986年10月14日、岩手県滝沢市生まれ。2000年に日テレ東京Vの前身となる日テレメニーナに入団。日テレ東京V一筋でプレーした。なでしこリーグ287試合21得点。ベストイレブンに13度輝いた。WEリーグ26試合0得点。2011年のW杯ドイツ大会では、センターバックの主力として6試合に出場。20年3月に第1子を出産。その後、ピッチに復帰した。163センチ、57キロ。