鹿島・鬼木監督が名将の手腕証明 鹿島9年ぶりV導き史上初J1複数クラブ優勝監督に 負けない鹿島を勝ちきる集団に改革
「明治安田J1、鹿島2-1横浜M」(6日、メルカリスタジアム)
鹿島が横浜Mを2-1で下して勝ち点76とし、9年ぶりのリーグ優勝を果たした。史上最多を更新する9度目の制覇で、最終節までもつれた2位の柏との優勝争いを勝ち点1差で上回った。就任1季目の鬼木達監督(51)はJ1の監督として、自身の記録を塗り替える歴代最多5度目の頂点。複数のクラブでリーグ制覇を成し遂げた初の監督となった。柏は町田を1-0で退けたが、勝ち点75の2位で終えた。
史上初となる複数クラブでのJ1優勝監督が誕生した。鬼木監督は2017年から川崎で黄金期を築き上げ、8季で国内主要タイトル7冠を達成。今季から名門・鹿島の復権を託された優勝請負人は就任1年目で結果を残し、その手腕を証明してみせた。
植え付けたのは勝利への執念。本拠地での連続無敗記録(27試合)を持つ“負けない鹿島”を、“勝ちきる集団”へ改革した。「全て勝ちからの逆算」と練習から本気のプレーを要求。妥協は許さなかった。
「勝ち点で言えば、3引き分けも1勝2敗も同じ」と、貪欲に勝ち点3を取りにいく。2位の柏がリーグ最多の引き分け12に対し、鹿島はリーグで2番目に少ない7。最終的にこの差が順位に直結した。
何の因果か。ターニングポイントは7月の第23節、アウェーでの古巣・川崎戦の敗戦(1●2)だったという。「あのゲームが大きかった」。かつての教え子たちが躍動した一方、自軍の選手の力を引き出せない自身に失望した。以降は“鬼”を呼び戻し、選手へのアプローチの基準を引き上げて細部まで徹底。その後、無敗で駆け抜けた。
名門復活を託された重圧は計り知れない。今季2度の3連敗を経験したが、支えになったのは指導者としてのやりがいだった。「勝敗だけじゃない。個人が伸びていくのが見られるから、やり続けられる」。通過点に過ぎない、鹿島での1冠目だ。





