東京Vが16年ぶりJ1に帰ってくる OB助言で「守備重視」 経営難、パワハラなど紆余曲折経て復活

 「J1昇格プレーオフ・決勝、東京V1-1清水」(2日、国立競技場)

 今季J2で3位の東京Vが2008年以来となる16年ぶりのJ1復帰を決めた。同4位の清水と1-1で引き分け、規定によりシーズン上位の東京Vが昇格した。東京Vは後半にPKで先制を許したが、ロスタイムに獲得したPKをFW染野唯月(22)が決め追い付いた。1993年のJリーグ開幕年から参戦する両クラブの一戦に、国立競技場には5万人超の観衆が詰めかけた。

 古豪が復活を果たした。1点リードされて迎えた後半ロスタイム。FW染野が倒されPKを獲得。昇格を決める同点ゴールを自ら突き刺した。J元年の93年に開幕を戦った国立でJ1昇格。城福監督が「最高です」と叫び、先制点を許すきっかけとなるハンドを犯した主将のMF森田は「やっとだな」と喜びの涙を流した。

 横浜FCの13季を超える最長ブランクとなる16季ぶりのJ1復帰。かつては三浦知良らスター選手をそろえた人気チームだったが一方で経営難に陥り、05年に初のJ2降格。08年に2度目の降格を喫すると、筆頭株主の日本テレビが撤退。20年はスポーツ用品販売大手のゼビオホールディングスの連結子会社に。21年は当時の永井秀樹監督のパワハラが発覚するなど、紆余曲折を経ての復活だった。

 ピッチ上では原点に立ち返った。過去に甲府を昇格に導いた城福監督の下、守備に変化をもたらし、今季はリーグ最少の31失点で42試合中23試合が無失点。「失点をゼロに抑えることで勝ち点3がこちらに転がってくる」。現役時代は千葉でプレーし、20年から東京Vの強化部長を担う江尻篤彦氏が定めたスタイルだった。

 「守備重視」に踏み切った理由にOB柱谷哲二氏からの助言もあった。「ヴェルディは華麗なサッカーばかり注目されるけど絶対に失点しない。ラモスだってカズだって守備からやったんだよ。できないやつは試合に出られなかった」。アカデミーにも方針を共有するほど徹底した江尻氏は「本当のヴェルディのDNAが戻ってきている」とうなずく。

 城福監督は「ここから(J1とJ2を行き来する)エレベータークラブになってはいけない。ここから新しいサッカーをやって、優勝を目指していかないといけない。行くよ!」と宣言。長い暗闇を抜け来季は再びJ1のピッチに立つ。

 ◆東京ヴェルディ1969 Jリーグオリジナル10で、初代Jリーグ王者。1969年創部。日本サッカーリーグ(JSL)の読売サッカークラブが前身。Jリーグ発足時からホームタウンを川崎市に置き、「ヴェルディ川崎」として活動。2001年2月から東京に移転し、現チーム名に。ヴェルディはポルトガル語のVerde(緑の意味)の造語。本拠地は味の素スタジアム。かつては三浦知良、ラモス瑠偉らが在籍。20年には経営危機、21年には当時の永井秀樹監督(現J1神戸スポーツダイレクター)のパワハラ騒動が起こった。

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