“バルサ化”と真逆も首位の現状 イニエスタの神戸退団を早めた背景とは
J1神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(39)が25日、退団を発表し、神戸市内で会見した。契約は今季終了までだったが、7月1日にノエビアスタジアム神戸で行われる札幌戦が神戸ラストマッチになる。6季目の今季は開幕から出遅れ、首位を走るチームで出場機会が減少。稀代の世界的スターが退団に至った背景を担当記者が解説した。
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J1首位を快進撃する現状が退団を早めさせた。潮目はあった。イニエスタは3月下旬から公式戦に出場し、少ないプレー時間で比類なき存在感を発揮。先発起用の時期に注目は集まった。だが4月9日の新潟戦の後、吉田孝行監督は「チーム状況もいい。勝っている時に大きく変える理由はない」と言い切った。
指揮官は腹をくくり、“脱イニエスタ”にかじを切った。開幕からハイプレスとカウンターを武器に全員が守備でハードワークし、9失点はリーグ最少。イニエスタとともにクラブが目指してきた華麗なパス回しの“バルサ化”とは真逆、全員が泥くさく走るサッカーが今の神戸だった。
過去5年、チームの大黒柱として躍動したスーパースターにも例外はない。指揮官がぶれずに示した姿勢がヴィッセルの一時代に終わりを告げた。
一方で長丁場の優勝争いへの影響は大きい。逆境でもパス一本で流れを変え、いるだけで頼もしい誰よりも勝ち続けてきた“魔法使い”はもういない。(デイリースポーツ・サッカー担当 荒木 司)





