田中碧が救った 先制!代表初弾 先発抜てき攻守に躍動「後悔のないゲームをしようと」

 「W杯アジア最終予選、日本2-1オーストラリア」(12日、埼玉スタジアム)

 日本が2-1でオーストラリアに競り勝った。予選初先発のMF田中碧(23)=デュッセルドルフ=が前半に先制ゴールを決め、1-1の後半にオウンゴールで勝ち越した。これで対戦成績は日本の10勝9分け7敗。ここまでB組で1勝2敗と苦しんできた森保ジャパンにとって、大きな1勝となった。11月には敵地でベトナム、オマーンと対戦する。

 負けられない一戦での先発起用に応えた。前半8分。田中は「信じて走りました」と南野からのクロスを受けると右足を振り抜き、ゴール左の完璧なコースに先制点を流し込んだ。国際Aマッチ3試合目でチームを勢いづかせる初ゴールとなった。

 「小さい子どもたちにW杯に日本が出ている姿を見せられるように、ゴールで勝利に貢献できて良かった」

 試合前にユニホームを着た子どもたちが会場入りする代表のバスを写真撮影する姿を見て、「夢を与えないといけない」と決意。試合終了と同時にピッチに倒れ込むまで走りきったフル出場だった。

 森保監督がこの窮地で決断したシステム変更に伴う大抜てきでもあった。4-3-3で通常のボランチではなくインサイドハーフに入り「僕自身も初めてで練習する時間もなかった」と言うが、「結果として勝てたので良かった」と見事に適応した。

 今夏の東京五輪では全6試合にスタメン出場し指揮官の信頼は得ていた。ただ、準決勝でスペインに敗れ、田中は「スコア以上の差を身をもって体感した」と痛感。川崎からドイツ2部デュッセルドルフに移籍し、ここまでリーグ6試合出場。欧州の基準を染みこませ、DF長友は「田中と守田のところでボールが収まった」とベテランの目にも成長は明らかだった。

 「この試合が終わって引退してもいいやと思えるくらい後悔のないゲームをしようと思った」と最終予選は初出場だが、堂々のプレーを披露。「ここから全部勝てばいけると信じている」。田中がW杯本大会へ押し上げる。

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