J1広島の柏がJ1通算300試合出場 解析力と向上心が生んだ偉業

 「J1通算300試合出場」という記録は、J1広島のMF柏好文で124人目。しかし、J2デビューの大卒選手による記録達成は、川崎のレジェンド・中村憲剛以来2人目だ。柏が成し遂げた業績の偉大さは、この事実だけでも証明できる。「デビュー3年でJ2が2年。そこからこの数字を積み上げた。本当に素晴らしい」と甲府と広島で彼を指導してきた恩師・城福浩監督も称賛する。

 2015年の優勝当時、相手を恐怖に陥れたドリブルのキレも「(年齢と共に)落ちてくるもの」と柏自身が認めている。それでも活躍が止まらないのは、「ドリブル以外で自分をどう生かすか、その道を彼はずっと研さんしてきた。特にスペースを見つける力とそれを引き出す能力は秀逸。若い選手の手本となる」と監督は指摘する。

 前節・福岡戦(8月9日)で柏がPKを獲得したシーンなどはその典型例だ。

 相手DFが何人も立っている狭い中でも有効なスペースを見つけ、自らのランニングで森島司のパスを引き出した。そのオフ・ザ・ボールの走りが、相手のファウルと退場を誘った。「頭と言葉と経験を駆使してやっている」と語る柏だからこそのプレーである。

 「(国士舘)大学の頃から、自分はイケイケのスタイルでした。でも経験を重ねることによって、チームがいい方向に向かうために、自分はどうするべきかを考えた。だからこそ、仕掛けるだけの選手から周りも使えるドリブラーにならないといけないと思ったんです」

 柏は自分のプレーを解析し、単独突破だけでなくコンビネーションでチャンスをつくる選手へと脱皮した。一時、失いかけたレギュラーの座を奪い返したのは、彼が常にサッカーについて考察し、ハイパフォーマンスを発揮して活躍したいと考え抜いていたからだ。

 柴崎晃誠が「タフガイ」と呼ぶ男は「広島は自分にとって特別な場所。ここで記録を積み上げられた。でも、もっと高みを目指したい」と言う。この常に上を目指すメンタルこそ、柏好文の原点だ。

(紫熊倶楽部・中野和也)

 ◇柏好文(かしわ・よしふみ)1987年7月28日生まれ。山梨県出身。身長168センチ、体重62キロ。ポジションはMF。背番号18。韮崎高、国士舘大を経て10年にJ2甲府入り。14年に広島に完全移籍した。J2通算は57試合出場で5得点。J1通算は300試合出場で28得点(8月20日現在)

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