久保建英をマジョルカCEO・モランゴ氏が絶賛 18歳にして普通ではない

 日本代表MF久保建英(18)がレンタル移籍でプレーするスペイン1部マジョルカ。彼の最大で最高の理解者が、最高経営責任者(CEO)のマエタ・モランゴ氏(37)だ。古くはFW三浦知良のイタリア1部(セリエA)時代を知り、いくつかの曲折を経て日本のサッカーファンからの期待を一身に背負う若手選手を引き入れた人物に、移籍の経緯や将来の展望を聞いた。

  ◇  ◇

 -スペイン1部に7年ぶりに復帰してここまでの戦いぶりをどう見ているか。

 「非常に素晴らしい挑戦だ。今我々はテクニック、スタジアム、メディア露出と世界最高のリーグにいて、少しずつ置かれた状態に慣れているところ。チームの戦いぶりには満足している」

 -今シーズン唯一の目標は残留か。

 「それははっきりしている。我々は1部リーグで補強にかけられる予算が最も少なく、その次に少ないチームとも差があるし、額としては2部のジローナと同じ。この点で限界があるのは承知している。これは前のオーナー時代にあった借金のためだが、我々としてはこれを受け入れ、正しい方向に向かうように努めている」

 -今夏、15選手を補強した。その中で久保獲得の意味合いは。

 「久保がいることの意味は大きいと思う。まずレアル・マドリードとの関係。非常に重要なクラブが抱える将来性豊かな選手を他にもオプションがある中でマジョルカに預けるというのは、我々のプロジェクトを信頼してくれたということ。2番目は技術的な側面。マドリード幹部が『最近21年でこれだけの才能を持つ同年代の選手は見たことがない』と言っていた。その点で技術的、戦術的に重要な選手だ」

 「3番目に我々は日本のマーケットをとても興味深いものと捉えている。マジョルカはこれまでに大久保(現J1磐田)ら日本人選手を抱えてきたが、この部分でもっと大きく成長しなければならないと考えているし、それを望んでいる。タケがその手伝いをしてくれると思う。ただ彼を語るときに最も特筆すべきはその謙虚な姿勢。とても落ち着き、集中している少年で、他人を尊敬する気持ちが非常にあり、人間的にとても好き。18歳にして成熟していて、彼の年齢を考えると普通のことではない」

 -元ブラジル代表FWのロナウド氏がオーナーを務めるバジャドリードなど他の複数クラブとの久保争奪戦を制した。

 「戦いとは捉えていない。私が思うのは、選手たちはプロジェクトを選ばなければならないということ。我々が名誉に思っているのはレアル・マドリード、選手本人、その周囲や代理人、選手の母親が成長し得るものとして我々のプロジェクトを見てくれたことだ」

 -以前に久保獲得を「一つの出産だった」と表現していた。その真意は。

 「少しずつ話が進んでいったということ。彼の関係者と知り合ったのは3月。当時彼はFC東京にいてスペインへ戻ることを望んでおり、我々は2部で戦っていた。話をしてすぐに彼のレベルは我々のそれを上回っていることが分かった。その後レアル・マドリードと契約を結んだわけだが、外国人枠で出場できないのは明白で、我々は状況を注意深くうかがっていた。ただ本人は確かな考えを持っていて、クラブ施設、チーム、監督、環境、他には少年時代を過ごしたバルセロナに近いこと、島の気候などスポーツ的、またその枠を超えた要素のすべてがプラスに働いた」

 -レンタル移籍の条件は。

 「期間は1年。ただ彼自身、レアル・マドリード、我々のいずれもが快適であれば、また第一はチームの残留だが、彼のキャリアにとっての一歩として、我々としてはもう1年でも2年でもやっていけるよう全力を尽くしたい」

 -レンタル移籍の条件として一定数以上の試合出場が課されているということはあるのか。

 「そういうことは全くない」

 -18歳で年俸はチーム最高では。

 「金額的なことが問題になったことはない。彼がここへ来たのはクラブ、方針、監督や選手といったチームが、彼にとって成長するために最適な環境だったということ。誰が多く払うとか少ないとかといった話はレアル・マドリードからも久保からも出ていない。それは凄いこと」

 -久保の前に他の日本人選手の獲得の動きはあったのか。

 「個人的に私は日本人選手のことを気に入っている。子供のころ私は(イタリアリーグの)サンプドリアのファンで当時同じ街のチーム、ジェノアにカズヨシ・ミウラがいた。彼が点を取るごとに盛り上がっていた様子を知っているから嫉妬心があった(笑)。実際のところ今年の夏、あと少しで香川を獲得するところまでいっていた。最終的にサラゴサに行ったが。岡崎もとても好きだし、柴崎のこともヘタフェ時代のプレーぶりを気に入っていた。日本のマーケットのことは分かっているし興味を持っていて、実際に獲得したのは久保で大いに期待している」

 -来年1月、久保は東京五輪アジア最終予選を兼ねたU-23アジア選手権(※注)で約1カ月、代表に招集される可能性がある。不在がチームに影響するか。

 「もし久保がいないのなら別の選手にとってはチャンスになる。だからこそチームは多くの選手を抱えている。日本代表(協会)は相手に対し大きな敬意を持って接していて我々は非常に良い関係を築いている。もし大事な局面を迎えるようなら日本、そして久保にとってマイナスにならない形でお互いの妥協点を探り、マジョルカにも力を貸してもらうということはあり得るだろう」(取材・構成=島田徹通信員)

 ※(注)…日本は開催国枠で五輪出場枠を得ている。

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