ノエスタ国内初「ハイブリッド芝」導入 神戸ホーム開幕戦でお披露目へ

 J1神戸が本拠地とするノエビアスタジアム神戸(ノエスタ=神戸市兵庫区)が、天然芝と人工繊維を組み合わせて耐久性を高めた「ハイブリッド芝」を導入する。国内のスタジアムでは初となり、ホーム開幕戦となる3日の清水戦から使用される。また、神戸は4月1日から10年間の管理運営事業者となることも決まり、ホーム側のサポーター席を拡充するなど「新スタジアム構想」も打ち出した。Jリーグが5月に25周年を迎える今季、ノエスタが新しく生まれ変わる。

 神戸市が所有するノエスタは03年に開閉式屋根を設置して以降、日照不足や風通しの悪さによる天然芝の育成不良が長年の課題となっていた。15年にはJ1神戸のホーム戦の一部を別会場で開催。16年には神戸市が約1億7000万円をかけ、10年ぶりに芝の全面張り替えを行った。日本で開催される19年ラグビーW杯の会場に選ばれたこともあり、神戸市は17年度に約9億1500万円の予算を組み、ハイブリッド芝の導入を決定した。

 複数の方式がある中でノエスタでは「打ち込み式」を採用。機械を用いて天然芝に2センチ間隔で人工繊維を地中18センチの深さまで埋め込む。天然芝の根と人工繊維が絡み合うことで耐久性は天然芝の2倍程度に向上し、透水性が上がることで天然芝の回復力も高まるという。施工された芝はオランダのシスグラス社製で今夏のサッカーW杯ロシア大会で開幕戦や決勝が行われるルジニキ競技場(モスクワ)などでも採用されている。J1神戸は16年10月からノエスタのピッチ外や練習場の一部に試験的に敷設してテストを実施してきた。

 ハイブリッド芝は世界の主流となりつつある。欧州ではスペイン1部バルセロナの本拠地「カンプ・ノウ」やドイツ1部バイエルン・ミュンヘンの「アリアンツ・アレーナ」など世界トップクラブのスタジアムも今やハイブリッド芝を導入している。ノエスタのハイブリッド芝の耐用年数は8年間の保証付きだが、施設管理部の新美宏弥氏は「10年でも大丈夫だと思っている」と話す。実際に視察した英国のスタジアムでは17年間使用している例もあったという。

 ハイブリッド芝といっても全体の95%以上は天然芝で構成されるため、当然メンテナンスも必要となる。神戸市は地中に配管を行い、温度管理した水を循環させることで天然芝の生育に最適な土中温度を保ち、生長を促す「地温コントロールシステム」や日照不足を補完するためライトを照射し、天然芝の光合成を促す「グローライト」、大型送風機やポップアップ式スプリンクラーなどを導入。総工費は約7億8000万円となった。

 ハイブリッド芝導入のメリットは他にもある。サッカー、ラグビーといったスポーツイベント以外に、シーズンオフにはコンサートなどに使用することでスタジアムの稼働率も上がり、経営面でも収益拡大が見込まれる。今後は芝生以外の魅力を高めることも必要となってくる。新見氏は「ハイブリッド芝のピッチで神戸の選手が躍動し、魅力的なサッカーを展開することで、ノエスタの価値がさらに高まってほしい」と、相乗効果に期待を寄せた。

 ハイブリッド芝で何度もプレー経験があるという神戸のFWポドルスキは「個人的には天然芝が好き」としながらも、「日本では(ホームのノエスタが)唯一のハイブリッド芝なのでアドバンテージはある」とチームにとって優位に働く可能性を認めた。ただ、天然芝との感覚の違いには「いい状態でやればどちらも同じ」と意に介さず。「芝だろうが土だろうが、最良の結果を出せた場所が一番いいグラウンド」と持論を展開した。

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