「日本代表合宿」（３１日、埼玉県内）

　サッカーのＷ杯アジア２次予選を控える日本代表は８月３１日、さいたま市内に集合し、練習を開始した。この日、イタリアから帰国したばかりのＦＷ本田圭佑（２９）＝ＡＣミラン＝は、スコアレスドローに終わった６月のシンガポール戦の反省から、攻撃のリズムを多様化する必要性を訴え、自身がそのかじ取り役を務める考えを明らかにした。

　同じ轍（てつ）はもう踏まない。金狼の頭の中には、既にカンボジア戦でのプランが描かれていた。雨の中で軽めの調整を終えた本田の口からこぼれたのは、危機感だった。

　「ここ最近勝利していないのは日本代表としては当然ながらあってはいけないこと。ふがいない結果が続いているので、結果のために必死でプレーしたい」と表情を引き締めた。

　シンガポール戦で払った“授業料”は無駄にしない。「チャンスで（得点が）入らないという想定もする。そこで一つひねったプレーとか、わざとテンポを変えるプレーとか。状況に応じてやれたらよいと思う」。速さと強さを求めるハリルジャパンだが、徹底的に引いてくる相手に速攻を仕掛け続けることは得策ではない。

　指揮官が掲げる理想像を「先を見据えた高い要求」と語る。その一方で「それができて勝てるのが理想だが、引かれた相手にはスピードを落とすなど、臨機応変に。経験ある人がやらないと」。対アジアの戦法として、柔軟に攻撃のかじ取り役となることを目指す。

　指揮官からも「違いを見せられる選手。高い要求をしたい」と評され、信頼は厚い。「（要求は）話すと長くなるが、簡単に言えばスピード感。コンディションは良いので、ピッチ上で皆さんに見せられるのではないか」。シンガポール戦から公式戦４戦未勝利という閉そく感を金狼が取り払う。