本田、最高発進 途中出場で流れ変えた

 「イタリアリーグ、サッスオロ4-3ACミラン」(12日、レッジョネレミリア)

 名門ACミランに新加入した日本代表MF本田圭佑(27)が、アウェーのサッスオロ戦で後半20分から途中出場し、移籍デビューを果たした。背番号「10」を身につけた本田は積極的なプレーで好機を演出し、自らもポスト直撃のシュートを放つなどチームを確実に活性化させた。試合は3‐4で敗れたものの、地元メディアも絶賛する活躍で、新天地で大きな一歩をしるした。

 デビュー即初ゴールとはいかなかったが、エース番号「10」をまとった「ミラン本田」が初陣で早くも確かな存在感を見せつけた。

 観衆が思わず息をのんだのは後半38分。左足から放たれたシュートが右ポストを直撃した。MFモントリボから横パスが来ると、中央で待ち受けていた本田は迷わず左足を一閃(いっせん)。ほぼイメージ通りの弾道だっただろうが、無情にもポストにはじき返された。濃い霧が立ちこめるスタジアムに起こった大きなどよめき。ミラノや日本から駆けつけた本田目当てのサポーターからはため息が漏れた。

 アウェーとはいえ、格下相手に後半3分までに4失点。名門ミランにとってはふがいない展開となったが、後半20分に本田がピッチに立って右の攻撃的MFに入ると、間違いなく流れが変わった。投入早々の同23分、左からのクロスに反応してヘディングシュート。これは味方に当たってゴールには届かなかったが、自軍の攻撃を活性化させるには十分な一撃だった。

 FWバロテリやMFカカらとの連係で相手ゴールに迫る姿は、もう何年もミランでプレーしているような風格さえ感じさせた。味方にボールを要求し続けるさまは、既に貫禄十分。アレグリ監督は「もっと慣れなければいけないが、デビュー戦としては上出来」と及第点を与えた。

 もっとも本田自身にとっては、納得の一戦とはならなかったようだ。ピッチを去る際には首をかしげた。選手たちにかん口令が敷かれたためにコメントを残さず、スタジアムを去るときも笑顔はなかった。確かにチームが勝たなければ意味がないが、本田がいきなり上質のパフォーマンスを披露したことは低迷するチームには好材料だろう。衝撃のデビューを遂げた本田が救世主になると、ミランサポーターは確信したはずだ。

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