那須川天心 また届かず...7回ダウン奪うも0-3判定負け 花道で父・弘幸さんとむせび泣き 307日間の進化は見せつけた

7回、井上拓真(右)からダウンを奪い拳を突き上げる那須川天心(撮影・堀内翔)
 井上拓真に敗れてリングを後にする那須川天心(撮影・堀内翔)
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 「ボクシング・WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(27日、トヨタアリーナ東京)

 WBC世界バンタム級タイトルマッチで、挑戦者の那須川天心(28)=帝拳=は王者の井上拓真(30)=大橋=に0-3で判定負けした。井上拓は2度目の防衛に成功。昨年11月の同級王座決定戦以来の再戦にも勝利した。WBO世界ミニマム級の松本流星(28)=帝拳=は暫定王座決定戦でラッセル・アコスタ(メキシコ)に3-0で判定勝ちし、暫定王座に就いた。WBCスーパーフライ級王座決定戦は坪井智也(30)=帝拳=がリカルド・マラジカ(南アフリカ)に1-2の判定負け。IBF世界スーパーバンタム級の西田凌佑(30)=六島=は、サム・グッドマン(オーストラリア)との暫定王座決定戦に0-3の判定で屈した。

 不安、焦燥、恐怖、全てをさらけ出し、本能のままに戦ったものの、ボクシング世界王者の牙城はまたも打ち崩せなかった。返り討ちに遭った天心は、涙をこらえながら井上陣営の尚弥らと握手し、四方に一礼してリングを降りた。花道では父・弘幸さんと抱き合い、こらえきれず、むせび泣いた。

 耳をつんざく地鳴りのような歓声を響かせたのは神童だった。7回、天心は伸びる左ストレートで拓真を倒した。劣勢から起死回生のダウンを奪い、さらに立った相手をロープ際まで詰めたが、百戦錬磨の王者は難攻不落。ロープダウン気味にバランスを崩させるのがやっとで、決定打を与えられないまま千載一遇のチャンスはついえた。

 前回は実力差を見せつけられたが、307日間のめざましい進化を観衆1万人の前で見せた。苦手だった近距離でも被弾を恐れずに手を出し、フィニッシュを狙った。ただ、拓真の鉄壁のディフェンス、鋭いカウンター、引き出しの多さには及ばず。一矢報いはしたものの、高い壁を越えることはできなかった。

 前回はプロ格闘技55戦目にして初黒星を喫した。何かを変えようと、年明けからはかつてキック時代から指導を受けていた葛西裕一トレーナーに再び師事し、接近戦などの課題克服に着手。同時に、父が代表を務めるTEPPENジムの練習にも週に1回顔を出し、原点回帰で“神童”としての本能を呼び起こした。

 因縁の相手との再戦は早すぎるとの声も多かったが「誰だと思ってるんだ。俺は那須川天心だ」と自分に言い聞かせるようにたんかを切った。キックから転身して3年半。世界タイトルにはまたも届かなかったが、そのポテンシャルを世界にアピールするには十分の名勝負だった。

 ◆那須川天心(なすかわ・てんしん)1998年8月18日、千葉県松戸市出身。キックボクシング42戦全勝、MMA4戦全勝。2018年大みそかにエキシビションでボクシング元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米国)と対戦してKO負け(非公式)。22年6月の武尊との「THE MATCH」を最後にプロボクシングに転向した。23年4月にボクシングデビューし、24年10月にWBOアジア・パシフィック・バンタム級王座獲得。身長165センチ、リーチ176センチ。左ボクサーファイター。

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