きょうフワちゃんプロレス再デビュー、対戦の葉月「覚悟を受け止めたい」激動の1年締めくくる
「プロレス・スターダム」(29日、両国国技館)
昨年夏のSNSでの不適切発言により、長い沈黙を余儀なくされたフワちゃんが、プロレス再デビューを果たす。その対戦相手である葉月は、挑戦を直訴された際、公式会見で、ともに感極まって涙を流した。その涙の理由を直撃した。
連日のようにテレビ、CMに出演していたフワちゃん。沈黙から再び立ち上がったのはスターダムの11・7後楽園大会。入団と両国大会での再デビューを「これは禊ではありません」と真摯な決意とともに発表。12・8後楽園大会では、自らリングで葉月に対戦を直訴し、同10日の会見で一騎打ちが正式決定した。
元気よく、そして真剣に決意を語るフワちゃんを前に、葉月は「本当に後悔しない?」とした上で「フワちゃんがウチを選んでくれるなら、プロレスラー葉月としてフワちゃんの期待に応えたい。プロレスの楽しさ、厳しさ、つらさ、全部私が教えます」と語りつつ、感極まり声を詰まらせた。それは10日の会見も同じだった。
葉月は「あの時の涙は…今までフワちゃんが試合してきた時は、隣でパートナーとしてやってきてたし、まさか再デビュー戦をフワちゃんの口から『葉月とやりたい』っていうのが聞けるとは思っていなかったので、すごく嬉しかった。なんだろう。ずっと師匠と言って慕ってくれてる部分も含めて嬉しかった」と明かした。
フワちゃんはテレビの企画で22年10月にスターダムのリングでプロレスデビュー。指導を受けた葉月と組み、上谷沙弥&妃南組と対戦。2戦目は23年4月、再び葉月と組み、林下詩美(現マリーゴールド)&天咲光由と戦い、2試合ともフワちゃんが3カウントを許した。
葉月は当時を「最初はテレビの企画だし、決まっている練習をただやって、試合をこなしていく感じなんだろうなって思いました。でも『この練習もやりますか?』みたいに、常に質問してくる子でした。すごく真面目で、一個一個の動きに納得がいくまでやったり、すごく練習熱心でした」と振り返る。
試合内容についても「受け身が一番不安な部分ではあったんですけど、試合になれば覚醒したようでした。怖がらず思いっきりぶつかりにくるって感じですかね。新人の受け身じゃなかったので、プロとしても尊敬するくらいでした」と評価した。
それ以来に顔を合わせたのが、今年4月のスターダム米国大会だった。現地に滞在していたフワちゃんが、観戦に訪れた。
米国で会食した葉月は「多分その時には、プロレスをやりたい気持ちはあったと思うんですけど、まだはっきりとは明かしてなかった。『今後どうするの?』みたいな話だけでした。日本に帰ってきて8月に、また連絡をくれて『プロレスのことをいろいろ聞きたいです』と言われた時に、あ、やりたいのかなって思いました」と振り返る。
再び行った会食。葉月はフワちゃんの決意を聞かされた。「その時に『プロレスが好きだからやりたい』という感じのことを言われました。最初にプロレスが本当に危険であることを、しっかり伝えました」。その上で「それでもやりたいんだったら練習も付き合ってあげる。頑張るんだったらウチも一緒に頑張る」と伝えた。
フワちゃんは程なくスターダムの岡田太郎社長に入団を直訴。了承され、9月から練習生となった。
11月の発表までの期間を葉月は「ブランクがあって、以前のようにスパッと動くのが難しい部分もありまりましたが、努力していました。それでも朝練の後、少し休んでからウチとマンツーマンで練習している時、疲れていても一生懸命でした。空いている時間を見つけては『練習したい』って日程を追加するくらいでした」と語る。二部練習は当たり前。こうしてブランクを埋めていった。
フワちゃんが大きな決断をしたように、葉月にとっても2025年は激動の年だった。自身が所属した正規軍・STARSのリーダー、岩谷麻優が4月に退団し、マリーゴールドに移籍。程なく自身はSTARSを脱退し、ユニット無所属となった。コグマとのタッグで他団体のベルトを獲得し、個人としても米国のSPARK女子ワールド王座、メキシコのCMLL日本女子王座を獲得した。
「他団体、海外の試合に出て、ハードコアにも挑戦しました。無所属だから、オファーしやすくなったと思う。スターダムの中で収まらない葉月になって、世界に通用するんだって思えるようになりました。今年初めに『唯一無二の選手になりたい』とSNSで言ったんですけど、本当に唯一無二に近づいてきているようです」
そんな1年だったからこそ、年末の大舞台でフワちゃんと激突する意義は大きい。プロレス界の外にも存在感を高めるチャンスでもある。
葉月は「フワちゃんの覚悟をしっかり受け止めたいし、葉月のプロレスラーとしての覚悟もしっかり受け止めてほしいです。両国には、プロレスを見たことがなかった人も多くいると思う。プロレスって痛いし苦しいけど楽しい。リングで生き生きと戦っている姿をお客さんに伝えたいですね」と語った。表情は穏やかながら、瞳には確かな闘志が宿っていた。





