井上拓真が王座返り咲き!「戻ってきました!」“神童”那須川天心を判定3-0撃破「天心選手、本当に強かった。1R始まって強いと肌で感じた」
「ボクシング・WBC世界バンタム級王座決定戦」(24日、トヨタアリーナ東京)
元世界王者で、1年1カ月ぶりの再起戦となった同級2位の井上拓真(29)=大橋=が同級1位の那須川天心(27)=帝拳=を判定3-0(117-111、116-112、116-112)で下し、王者に返り咲いた。キックボクシング時代から公式戦54戦無敗の“神童”についに土をつけた。
1回は互いに慎重に間合いをはかりながらの静かな展開。残り20秒で天心が左を浴びせて、井上が後退。会場を沸かせた。2回は徐々に天心が手数を増やしていく。変則的な動きから右を浴びせる。3回も井上のパンチを交わしながら、ボディーを浴びせていく天心。天心が井上を翻弄(ほんろう)する形で序盤を終えた。
4回は井上がプレッシャーを強めていき、天心に右を浴びせていく。5回も井上が前に出て行く展開。井上が勢い余って転倒する場面も。終盤に天心がグッと距離を詰めて左を当てて、ラウンドを終えた。6回は序盤から距離を詰めて激しい打ち合いに。井上の右が天心の顔面を捉えていく場面が増える。セコンドの井上尚弥からも「勝ちにいくぞ、勝ちにいくぞ」とのゲキが飛んだ。
7回は一進一退の攻防が続き、8回は天心がボディーを浴びせながら主導権を握りにいく。公開採点では2者が井上を支持、1者が同点だった。
終盤に入った9回、気迫がぶつかりあって、互いにもつれて倒れる場面が。井上が前に出る中で、天心は連打で反撃に出る。10回、天心はノーガードからトリッキーな攻めで勝負に出る。翻弄(ほんろう)しながら、パンチを浴びせていき、ペースをつかむ。11回、勝負を懸けて前に出て来た井上が連続アッパーで攻め立てる。天心はジャブを浴びながら、「こい!」と挑発して闘志を全面に出していく。最終12回は互いに死力を尽くし、パンチを繰り出していくが、決定機のない中で終了のゴングが鳴った。
勝利者インタビューで井上は「戻ってきました!」と声をあげ、「天心選手相手だからこそ、ここまで追い込めた。本当に強かった。自分は天心選手がキャリアが浅いからといってなめずに、強敵だと思って追い込んできた。1ラウンド始まって、本当に強いと肌で感じた。ファンの皆さんには本当にこの結果で恩返しできた」と、うなずいた。
WBA王者だった昨年10月、堤聖也に敗れて陥落。引退も考えたが「ここで辞めたら後悔する。そんなに長くないボクサー人生をしっかりやり切りたい」と現役続行を決断した。再起戦で向かい合ったのは、知名度抜群の人気者。「自分もこういう盛り上がる試合がしたかった。今回は世界王者に返り咲くというより、天心選手に初黒星をつけたいというのが一番のモチベーション」と闘志を燃やしていた。「踏み台にはならない」と強い決意で汗を流してきた。父の井上真吾トレーナーが「プロ入りして初めて同じ温度で(メニューを)全部やれた。体調もメンタルもベストコンディションで最高に仕上がっている。今まで自分でリミッターをつけていたが、今回は全部外してしっかりできた。よくやったよ」と珍しくねぎらうほど、バキバキの肉体で自己ベストを更新。人生を懸けて挑んだ大一番で完全復活を遂げた。
◇井上拓真(いのうえ・たくま)1995年12月26日、神奈川県座間市出身。兄は4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥。アマチュア戦績57戦52勝(14KO)5敗。2013年12月にプロデビュー。15年に東洋太平洋スーパーフライ級王座、18年にWBC暫定世界バンタム級王座、23年にWBA世界バンタム級王座を獲得。プロ戦績は22戦20勝(5KO)2敗。身長164センチ、リーチ164センチ。右ボクサーファイター。





