井上尚弥、驚きの守備型モデルチェンジで難敵完封「今日はあれが100点」大橋秀行会長も賛辞「この何年かで一番いい試合」
「ボクシング・4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」(14日、IGアリーナ)
4団体統一王者の井上尚弥(32)=大橋=がWBA暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30)=ウズベキスタン=を3-0の大差判定で下し防衛を果たした。「キャリア最大の強敵」と位置づけた難敵に対し、足を使ってディフェンスを重視する驚きの新スタイルで完封し、史上最多に並ぶ世界戦26連勝の金字塔も打ち立てた。
頑強なパワーファイターに対し、井上は序盤からスピードで圧倒しながら、足を使って翻弄した。相手を決して危険水域に入れず、逆に強烈なボディーを打ち込んで動きを止めた。果敢に打ち合ってプロ2度目のダウンを喫した5月のラモン・カルデナス(米国)戦とは打って変わった守備型スタイルで12回を戦い抜くという驚きの展開を見せ、「アウトボクシングもいけるでしょ。誰が衰えたって?」とおどけた。
最強のアフマダリエフに対して、当初から12回の戦いも覚悟して臨んだ一戦。「倒しにいかないことがこれほど難しいんだなという発見はあった。何回も『いってやろう』も思ったシーンがあった」と試合中にも葛藤があったと打ち明けた。「きょうは我慢というのが自分の中でテーマ。インターバル中も父から『このままでいいんだよ』『いきすぎるな』と言われていた。出入りのボクシング、ポイントをピックアップするボクシングをしっかりできた」と振り返り、「今日はアフマダリエフに対してあの戦い方は100点をつけていい」と自己評価した。
プロ31戦目にして守り勝つという新基軸を打ち出し、完全無敵ぶりをより強固にした。来日した世界的名プロモーター、米トップランク社のボブ・アラムCEO(93)は「今日は完璧なコンプリート・ファイターだと見せられた」と称賛。所属ジムの大橋秀行会長(60)も「この何年かで今日の井上尚弥の試合が一番いい試合だったと思う。KOはボクシングの一番の魅力だと思うが、今日のように判定でもここまで魅せられるボクサーになったんだなと今日確信した」と賛辞を惜しまなかった。





