現役医師ボクサーが3連勝で決勝進出 スーパーフライ級の中上勝一朗 さすが医師「ダメージは残さない」 西日本新人王戦
「ボクシング・西日本新人王戦」(17日、堺市産業振興センター)
準決勝が行われ、スーパーフライ級では、現役医師ボクサー、中上(なかじょう)勝一朗(33)=江坂=がデビューから3連勝。9月10日(エディオンアリーナ大阪第2競技場)の決勝進出を決めた。
華麗なフットワークでリングを最大限に使った。相手の打ち終わりを狙う有効打が決まり、ジャッジ2人がフルマークの3-0判定。決勝切符を手にした中上は、ジムの応援団に囲まれ「目標は西日本新人王。その後は(全日本新人王決勝の)後楽園ホールへみんなを連れて行きたい」と意気込んだ。
本業は消化器外科の医師。現在は阪大の大学院生として大腸がんについて研究する傍ら、外来患者にも向き合っている。
福井大医学部時代は司令塔のSOを務めたラガーマン。格闘技が好きで2年前に同ジムに入門した。32歳でのプロテスト受験は、医師としての将来を考える福山正治会長に猛反対されたが、45歳の若さで亡くなった父を思い「何か生きた証しを残したかった」と初心を貫いた。
昨年5月にテストに合格。同11月のデビュー戦は、3度のダウンを奪って勝利した。ライセンス取得に反対していた福山会長は「プロテストだけのはずだったのに、デビューして新人王戦まで。でもデビュー戦で3度もダウンを取る選手はいない」と複雑な表情だ。
3戦で計4度もダウンを奪う強打を持ちながら、勝利はすべて判定。自身も、大好きな漫画「はじめの一歩」から「(主人公の)幕之内一歩みたいな(ファイター)スタイルだと思っていた」と言うが、プロになって気づいたのが「とにかくパンチをもらうのが嫌い」という現実だった。
それでも、出入りしながら的確にヒットを積み重ねる“当て勘”は天賦の才。アウトボクシングを消極的には見せず、「ダメージは残さない」と医師らしく言う。
決勝では、この日、1回TKO勝ちした森本竜馬(KWORLD3)と対戦する。「(年齢的に)ラストチャンス。行けるところまでいきたい」と異色のボクサーは聖地を目指し、白衣を脱いでリングに上がる。





